2021年7月14日、DJI JAPANは中電技術コンサルタントと共同で、桜島活火山地域の実証実験を実施したと発表した。桜島の立ち入り禁止区域を対象に、火山噴火や土石流の発生などによる土砂変動量を正確に把握するため、ドローンを活用した3次元マッピングを行った。

 国内有数の活火山である桜島は、年間数十回以上の土石流が繰り返し発生し、火山地域の状況確認や周辺環境の保全・管理の安全確保が重要であるが、その都度、航空機で調査を行うことはコスト面などの課題があった。
 中電技術コンサルタントでは、産業分野、特に管理保全事業でのドローン需要の高まりを受け、調査の安全性やコスト効率の向上のためDJI製ドローンを導入。ドローンを活用することで作業効率を改善し、計測精度を保ちながら桜島における流域全体の計測を実現した。

 3次元マッピングでは、DJIの業務用ドローン「Matrice 300 RTK」に、航空測量用フルサイズセンサーカメラ「DJI Zenmuse P1」を搭載して素材となる画像を撮影した。Zenmuse P1は、4,500万画素の高解像度撮影が可能なため、撮影枚数や飛行時間を大幅に削減することができる。精度面では全検証点で目標精度20cmに対し、精度約5cm、地上解像度も従来の航空レーザ測量の地上解像度20cmに対し、3cmと高解像を実現した。
 画像処理にはマッピングソフトウェア「DJI Terra」を活用。DJI Terraは生成した点群上で画像を一括管理し、必要とする画像へ素早くアクセスできるため、従来は約1週間かかっていた処理作業時間が半分以下となった。

 中電技術コンサルタント 執行役員先進技術センター長 兼 BIM/CIMプロジェクト室長の荒木義則氏は「桜島でのドローン計測に成功し、計測精度も高い結果が得られたことから、今後も同様の場所や類似の場所において、活用できることが確認できた。今後は、火山地域での防災調査(災害状況の把握、地形変動量の調査、土砂移動機構のメカニズム解明)や、社会インフラ(構造物)の維持管理点検・調査への活用、特にAI機能を使って変状の検知や損傷の評価などに応用していきたい」と述べている。