2020年12月22日、オムロンは、パートナーのディマログ社と、ヘルシンキ(フィンランド)のショッピングセンターでモバイルロボット「LDシリーズ」(以下LD)を活用した、食料品などの自動搬送サービスのトライアルを実施したことを発表した。このトライアルでは、LDがショッピングセンターと近くの高層ビルのアパートを行き来して、在宅勤務をしている人々に昼食や食料品を提供した。

口笛を吹きながら、食料品をスーパーマーケットから近隣のアパートに搬送するモバイルロボット(Omron Industrial Automation EMEA)

トライアル概要

 「Home On-Demand」と名付けられた1か月間の自動宅配トライアルは、機動的な物流・搬送ソリューションの開発を目的として、ヘルシンキ市のスマートシティ化に向けた開発会社であるフォーラムビリウム社と、建設会社のSRV社が共同で立ち上げたものである。今回の施策(トライアル)には、LDの操作と設定を最適化したオムロンとディマログ社、ムオトヒオモ社に加え、エレベーターメーカーのコーン社、REDIショッピングセンターに出店しているKスーパーマーケット、アパートの居住者にデジタルサービスを提供するアスミ社が参加した。

トライアルの内容

 本トライアルでは、アスミ社のデジタルサービス上で顧客やショッピングセンター内の企業のオンライン注文を受け、商品(主に食料品)をスーパーマーケットのスタッフがLDに積み込んだ。LDは口笛を吹いて周りの人に自分が近づいていることを伝えながら、そして狭い通路や人々が動き回る場所でも周りの状況を把握しながら注文元であるアパートや企業に配達し、顧客に自動で到着を通知した。LDは自分でエレベーターを呼び移動することも可能だったが、火災安全規則のために扉を閉じたままにしなければならない場合があるため同行者が扉を開けた。同行者は大学でサービスデザインを学んでいる学生で、LDが遭遇した問題を報告し、行き交う人々との相互作用の観察を行った。フォーラムビリウム社のカイシー・スピリング氏は次のようにコメントしている。「このパンデミックの期間、モバイルロボットは在宅勤務をしている人々に昼食を提供してくれました。ランチタイムには予約で満杯でした。ロボットは、日常生活の質向上に無くてはならないものになっています」。

スーパーマーケットのスタッフがLDに注文の品を積み込む様子(左)と、エレベーター待ちをするLD(右)

LD/HDシリーズの特徴

簡単に幅広く搬送領域を自動化
 事前に走行ルートを定める磁気テープの設置などを必要とせず、人や障害物を自動で回避しながら搭載したAIで最適なルートを自ら考え、決められた場所に部品や製品を搬送するロボット。軽量搬送の「LDシリーズ」と、1.5tまで対応する「HDシリーズ」があり、材料から部品、仕掛品、完成品に至るまで様々な領域のシームレスな搬送を自動化する。

高度な混合フリート
 オムロンの「フリートマネージャ」は、可搬重量など異なる種類のオムロン製モバイルロボットを、最大100台まで同時に制御できるシステムである。互換性やパフォーマンスを気にすることなくすべてのオムロン製モバイルロボットを制御し、トラフィック管理、バッテリー管理、および車両ナビゲーションを最適化することができる。

可搬重量60kgのLD-60(左)、可搬重量250㎏のLD-250(中央)、可搬重量1.5tのHD-1500(右)

▼モバイルロボット「LD / HDシリーズ」
https://www.fa.omron.co.jp/products/family/3664/