2020年10月6日、川崎重工は、大樹町多目的航空公園(北海道)において、無人コンパウンド・ヘリコプター「K-RACER」の飛行試験に成功したことを発表した。

 従来型のヘリコプターでは技術的に限界がある高速化を目指した無人試験機による技術実証を行い、今回の試験では自律制御による安定した飛行を確認することができた。

川崎重工:無人コンパウンド・ヘリコプター「K-RACER」飛行試験

 K-RACERは、メイン・ローター(直径4m)のほか、テール・ローターの代わりに左右両舷に主翼およびプロペラを持つ、コンパウンド(複合型)・ヘリコプターと呼ばれる特殊な形態の試験機である。左右のプロペラによりメイン・ローターの回転に伴うトルクを打ち消すとともに、前進推力を発生することができる。また、前進飛行では主翼が揚力を分担することでメイン・ローターの負担を減らし、従来のヘリコプターでは達成できない高速飛行が行えるコンセプトになっている。
 なお、同機は航空宇宙システムカンパニーが開発し、動力源はモーターサイクル&エンジンカンパニーおよび技術開発本部の技術シナジーにより、同社製モーターサイクル「Ninja H2R」のスーパーチャージドエンジンを搭載している。

 川崎重工は、今回の試験で得られた成果を、有人/無人のヘリコプターをはじめとしたVTOL(vertical take-off and landing、垂直離着陸機)および各種サービスと連携した航空機運航システムの開発等に活用することを目指すとともに、将来VTOLシステムの実現も含め、今後も航空技術を通じて社会に貢献していく、としている。