2020年6月8日、メトロウェザーは、高精度風況観測を提供する超高分解能ドップラー・ライダーを国内に展開し、風況の実況・予測情報を提供する事業において、NTTコミュニケーションズと業務提携契約を締結したことを発表した。

 京都大学発スタートアップのメトロウェザーは、高精度風況観測を提供する超高分解能ドップラー・ライダー(※1)を国内に展開し、風況の実況・予測情報を提供する事業において、NTTコミュニケーションズ(以下NTT Com)と業務提携契約を締結した。
 これによりメトロウェザーは、NTT Comが所有する通信用鉄塔等へのドップラー・ライダー設置や、NTT Comが強みを持つクラウド・コンピューティングやデータ配信などのIT技術の活用を通じて、メトロウェザーが生成した高精度な風況情報を安全なドローン運航等に役立てるシステムを構築する。

 ドローン技術の急速な発展に伴い、インフラ点検・メンテナンス、物流等の幅広い分野にドローンの活用が注目されている。一方、ドローンが飛行する地上付近の風は乱れが多く大小様々な乱流が形成されているとされ、安全なドローン運航にとってその乱流は致命的なリスクとなる。これから急速にドローン市場が拡大していく中で、運航ルートにおけるリアルタイムな風況情報の把握は必要不可欠であり、そのためのシステム構築が急務となっている。
 NTT Comが保有している通信用鉄塔や局舎は、全国的に数多く存在しており、また地上から離れた高い場所となっているため、ドップラー・ライダーの設置に適している。メトロウェザーの開発した、離れた地点の風況を3次元的に測定できる超高分解能なドップラー・ライダーをNTT Comの通信用鉄塔や局舎に設置していくことで、3次元の風の実況データを得ることができるようになる。

 本事業提携では、両社が連携することで「解像度の細かい風況の実測・予測情報」を顧客に提供するシステムが構築できる。こうした詳細な風況情報は、ドローンが自律飛行する際に突風やビル風などによる落下事故を防ぐための、安全・確実な運行に必須な屋台骨のデータとなる。さらに、メトロウェザーのもう一つのコア技術であるビル解像数値予報モデルによって、リアルタイムな実況だけでなく、風況の変化を予測することも可能になり、ドローン運航の飛躍的な安全性向上が期待できる。

※1 ドップラー・ライダー :赤外線レーザーを発射し、大気中のエアロゾル(塵、 微粒子)からの反射光を受信することによって、風速・風向を観測することができる大気計測装置。