「ロボット活用型市場化適用技術開発プロジェクト」を実施している国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下 NEDO)は、東芝と、自律型移動ロボットと運行管理システムを接続するためのインターフェースAMR-IF(Autonomous Mobile Robot Interface)の仕様を策定したことを、2020年3月30日、発表した。AMR-IFに準拠した操作端末(GUI)ソフトウェアのサンプルをオープンソースソフトウェアとして、本日から公開する。同ソフトウェアを活用することで、メーカーや種類が異なる複数の移動ロボットを共通のシステムで運用でき、ロボット未活用領域でのロボットの普及や低コスト化が期待できる。

 今後、AMR-IFが移動ロボットの標準インターフェースとなるよう、国際標準化を目指す、としている。

自律型移動ロボット向けインターフェースAMR-IF

概要

 製造・物流現場や公共施設内での搬送や警備、清掃などさまざまな業務で、自律型移動ロボットが普及しつつある。現状、これらの移動ロボットでは、各メーカーが上位システムの運行管理システムを開発し、独自のインターフェースで移動ロボットと接続している。そのため、メーカーの異なる移動ロボットを新たに導入する際には、運行管理システムを開発しなおす必要がある。また、複数メーカー、複数種類の移動ロボットを同じ運行管理システムに接続することもできない。これらはロボットを導入する上で大きな阻害要因となっている。

 このような課題を解決するため、NEDOと東芝は、NEDOの「ロボット活用型市場化適用技術開発プロジェクト(※)」の一環として、移動ロボットと運行管理システムとの相互接続手順を定めた移動ロボットインターフェースAMR-IF(Autonomous Mobile Robot Interface)の仕様を策定した。AMR-IFを活用することで、メーカーや種類が異なる複数の移動ロボットを共通のシステムで運用することが可能となる。これにより、上位システムを構築するシステムインテグレーターや移動ロボットのメーカーが、移動ロボットを使ったシステムを開発しやすくなり、ロボット未活用領域でのロボットの普及や低コスト化が期待できる。

 そして今回、このAMR-IFに準拠した操作端末(GUI)ソフトウェアのサンプルをオープンソースソフトウェア(OSS)として3月30日に公開する。

▼AMR-IFサンプルソフトのダウンロードサイト(GitHub)
https://github.com/AMR-IF/AMR-IF-UI

また、サンプルソフトは、以下からもアクセス可能。

▼NEDO「ロボット活用型市場化適用技術開発プロジェクト」研究開発成果公開ページ
https://robo-marc.github.io/

今回の成果

 AMR-IFは、移動ロボットの運行管理に必要な地図情報、走行経路指示、ロボットの現在位置情報などのプロトコル(規約)を定めたものである。このAMR-IFの仕様に準拠することで、複数台の移動ロボットの効率的な経路計画の策定や、デッドロック(複数ロボット同時進入による行き詰まり)回避などを行う運行管理システムの構築が可能となる。

 今回公開するGUIソフトウェアを用いて、2019年12月に開催された「国際ロボット展2019」のNEDOブースにて、THK、セック、パナソニックとともに、メーカーも種類も異なる3台の移動ロボット連携デモを行い、一つの上位システムで異なるメーカーのロボットを管理できることを実証した。

 このソフトウェアの活用により、システムインテグレーターやロボットメーカーは、AMR-IFに準拠した運行管理システムを容易に開発することができる。同時に、東芝は、利用者からのフィードバックを活用して、インターフェースの充実・改善を図っていくという。

国際ロボット展に出展した3台の移動ロボット

今後の予定

 現在、「ロボット新戦略」(2015年2月10日日本経済再生本部決定)に基づいて設立されたロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)においても、移動ロボットのソフトウェアアーキテクチャについて議論され、その仕様策定が進められており、AMR-IFはこの仕様にも準拠している。東芝は、引き続き、AMR-IFの標準化(デファクトスタンダード化)を図るとともに、RRIの活動などを通じて国際標準化も目指す、としている。

※ ロボット活用型市場化適用技術開発プロジェクト
期間:2015年度~2019年度(委託事業は2017年度~2019年度)