2020年1月30日、フジタは、給電装置から電力の供給を受けながら空撮が可能な「建機追従型有線給電ドローン 」(以下 有線給電ドローン)を開発したことを発表した。空撮した映像は、無人化施工の建設機械オペレーターに提供され、あらゆる視点からの映像チェックが可能となり、作業効率の向上と省人化が実現できる。また、バックホウ用遠隔操縦ロボット「ロボQS」(※)を装着したバックホウと連携させた実証実験を長崎県島原市で実施し、同技術の有用性を確認した。

※ 同社が国土交通省九州地方整備局九州技術事務所およびIHIと共同開発した、市販の汎用油圧ショベルを無線遠隔操縦するロボット

システム構成

開発の背景

 これまでの無人化施工現場では、あらかじめ現場周囲に配置したカメラ台車や建設機械の運転席に取り付けたカメラからの固定映像を頼りに操作を行っていた。しかし、カメラ台車配置に物理的制約があることや、建設機械の移動に応じた映像の切り替えに人手が必要で、この省力化が課題となっている。また災害現場のような複雑な環境の場合、固定映像だけでは周囲を十分に俯瞰できず、走行について安全面での課題もある。

概要

 今回開発した有線給電ドローンは、建設機械の外部に設置した小型のヘリパッドから離発着し、建設機械との相対位置を維持しながら自動で追従飛行する。また、ドローンのカメラは光学ズーム・光学防振機構を搭載しており高画質な映像を撮影できる。これにより、建設機械オペレーターに対してあらゆる視点の映像を提示できるほか、映像の切り替え作業が不要となり、作業効率の向上と省人化につながる。ドローンの飛行時間については、有線で常に給電できるため、バッテリーを用いて飛行する従来のドローンに比べて長時間の飛行を実現した。給電ケーブルは、ヘリパッド内に内蔵した自動巻き取り装置で絡み事故を防止する。そのほか、ドローンの操作はタッチパネル対応のパソコンで行うため、直感的な操作が可能である。

特長

・あらゆる視点の映像を提示し、オペレーター作業の効率と安全性が向上
・位置制御機能による自動追従飛行で、カメラの設置や映像の切り替え作業を削減
・有線給電による長時間飛行が可能

実証実験の結果

 長崎県島原市において実証実験を行った。その結果、「ロボQS」を装着したバックホウを遠隔操作するオペレーターに対し、有線給電ドローンからの映像提示のみで実証フィールド内の走行と、あらかじめ設定した作業が可能であると確認した。

 今後、無人化施工現場への導入や他の建設機械への応用、災害が発生した地域での活用など幅広く利用できるよう実証試験を進め、実工事への本格導入を目指す、としている。