2019年11月25日、エアロセンスは、セイノーホールディングスを筆頭に、トルビズオン、組合林業、JForestグループ山口県森林組合連合会、山口県西部森林組合、およびリテールパートナーズと、社会実装に向けたドローン物流のビジネスモデル実装にとりかかることを発表した。

 今回は、ドローン空輸に関するビジネスモデルの実装を目的として、上記関係者に加え、ココネット、丸久、およびソフトバンクにも協力を受け、下関市で事業化に向けた社会実装プロジェクトを立ち上げた。

プロジェクトの目的

 ドローン物流の実装化にむけて、全国初で私有林上空における「空の道」のビジネスモデルを実践する。森林は日本国土の3分の2以上を占めている。山間部に居住している高齢者は免許証返納やライフスタイルの変化、公共交通機関の不便性などから買い物に行きたくても行くことができず、「買い物弱者」と呼ばれる人たちが年々増加傾向にある。
 また、配送事業者も山間部の配達に効率性などの課題を感じており、同モデルを構築することは、今後のドローン物流の展開に大きく寄与する可能性をもつ。

プロジェクト詳細

実践日 :11月29日
実践内容 :丸久(リテールパートナーズの事業会社)が行う買い物代行サービスとして、1kgの商品を2.5km離れた土地に、SIM搭載ドローンで、携帯で電話するように、簡単・安全に空輸を行う(拠点A〜B間)。配送はココネット(セイノーホールディングス100%子会社)が担い、通信はソフトバンクから提供を受ける。
拠点A :道の駅 蛍街道西ノ市 または西部森林組合
拠点B :のぞみ会加工場(実践フィールド:山口県下関市豊田町大字中村付近)

使用機体 :国産マルチコプター型1機(エアロセンス製:AS-MC03-TBox)
搬送物 :食料品(1kg程度)

連携イメージ

 今後ドローンが物流や人の移動など様々な分野で活用される時代を見越した時、日本国土の3分の2を占める森林が、その空路として活用される可能性は非常に大きいと考えられる。森林上空がドローンの飛行に適していると目される一方、その下には地権者が存在しており、森林所有者の合意のもとでの空域の適正管理、適正利用を前提として運用していかなければならない。

 そこでトルビズオン及び組合林業は sora:shareサービス(※)を通して、墜落、騒音、プライバシー侵害など、ドローン航行による一定のリスクに対して保険によるリスク回避を行うとともに、ドローン事業の発展を促進するため、地権者による一部リスクの容認に関して合意形成を行う。また、空路を設計するにあたり、下関市は道路や河川の上空を通過する際に必要な各種調整を担う。

 物流事業者は物流業界の課題として、山間部・離島への配達の非効率性や不在率の高さ、ドライバーの人手不足を感じている。今回の実証では、山間部での配達効率化に向けSIMを搭載したドローンを使用し、人手不足の課題に対しては省人化を推進可能なモデルとして、エアロセンスの誰でも簡単・安全に使えるドローンシステムを使用する。

 また、小売事業者もEC販売が加速する流れの中で、ネットスーパーを運営するなど顧客とのダイレクトな繋がりを大切にしており、より一層の地域貢献、商圏の拡大などを考慮し、ココネットの買い物代行輸送力とドローンの速達性を生かした新たなビジネスを検討している。

 そこで、両産業の側面からコスト構造や顧客への便益などを加味し、最適なビジネスモデルを考案し、その実装を行う。

ドローン物流における社会受容性構築への寄与

 ドローン物流を社会実装していくためには、ドローン航行に関するリスクに対する地権者の合意と、ドローン空輸に対する利用者の需要喚起が必須課題となる。今回の「空の道」設計及びビジネスモデルの実践を通して、現法制度におけるドローン社会実装のモデルになることを意図している。

上空シェアリングサービス「sora:share(ソラシェア)」とは
 トルビズオンが展開する「sora:share」は、土地所有者とドローンユーザーをつなぐシェアリングエコノミー。sora:shareに登録した両者をマッチングし、合意形成したうえで安心なドローン飛行を支援するサービスである。ドローン飛行のための空中権の予約・販売から管理までの全てを請け負う。トルビズオンは同ビジネスモデルの特許を取得しており、ASEANにも展開予定である。