2019年11月5日、御殿場市、御殿場市・小山町広域行政組合消防本部、KDDIは、2019年11月1日より約1カ月間、モバイル通信に対応したスマートドローン山岳救助支援システムを御殿場消防署へ導入し、遭難発生時の捜索や遭難者情報の収集に活用していくことを発表した。今後、三者は2020年以降の富士山の開山期間における同システムの本格運用に向けて取り組んでいく、としている。

山岳救助用ドローンPD-4XM(プロドローン社製)

 登山中の遭難者救助においては、遭難位置や現場状況の把握が困難なことによる救助時間の長期化や天候不良による救助不可などの課題が生じている。そこで、KDDIと御殿場市は、2018年11月に包括連携協定を締結し、スマートドローン山岳救助支援システムの実証を実施してきた(※1)。これらの取組みを踏まえ、御殿場消防署へ山岳救助支援用スマートドローンを配備し、消防署員による捜索支援や遭難状況の把握にドローンを活用していく。

 また、ヤマップは、LPWA対応の「KDDI IoTクラウド~Pocket GPS~」を登山者へ2019年11月中旬よりトライアル提供する。位置情報を常に家族と共有、緊急時に知らせることで、登山の安全を推進していく。

山岳救助用スマートドローンの御殿場消防署への配備・運用

1. 概要
 御殿場消防署に山岳救助支援用スマートドローンを配備し、遭難発生時にドローンを持ち出動。捜索エリアでの巡回飛行による捜索支援や、遠隔地への飛行による遭難状況の把握にドローンを活用する。

ドローン山岳救助概要

2. 期間
2019年11月1日〜11月25日(※2)

3. 場所
御殿場口新五合目から獅子岩エリア(※3)

ドローン山岳救助実施エリア

LPWA対応「KDDI IoTクラウド~Pocket GPS~」の登山者へのトライアル提供

1. 概要
 ヤマップは、登山サービス「YAMAP」の会員に対し、LPWA対応の「KDDI IoTクラウド~Pocket GPS~」を、10名に無償でトライアル提供する。Pocket GPSサービスは、登山中の位置情報の記録や、SOS信号の送信が可能なため、Pocket GPSアプリにて、家族や友人と位置情報を共有するとともに、緊急時のSOS通知受信などができる。
 同取り組みにおいて、LPWAが新たな通信手段として登山の安全対策に寄与できるかどうかを検証する。

Pocket GPS端末
Pocket GPSアプリ機能

2. 応募期間
2019年11月15日〜2019年11月22日

3. 応募方法
YAMAPサイト(https://yamap.com/)より申し込み。

4. 貸し出し期間
2019年11月中旬〜2020年5月31日(予定)

5. 利用検証場所
日本百名山を中心とする国内の主要な山岳地帯(※4)

・富士山で4G LTEが利用可能な場所
https://www.au.com/mobile/area/4glte/800mhz/mountain/trail/?trail=fuji

・その他携帯電話が利用できる百名山の登山道
https://www.au.com/mobile/area/4glte/800mhz/mountain/

6. YAMAPについて
 ヤマップが提供する「YAMAP(https://yamap.com/)」は、登山やアウトドアに関心のあるユーザーに向けたアプリ。電波の届きにくい山中でも自分の現在地とルートが確認できるので、遭難防止に役立つ。また、歩いたルートの軌跡を記録し、撮影した写真やコメントと共に「活動日記」として投稿することで、ユーザー同士で情報の閲覧や、交流することが可能である。WEBでも同様の登山情報サービスを提供している。
 またBluetoothによる「すれ違い通信」により、電波の届かない山中のユーザー位置情報を別のユーザーのスマートフォン経由で取得し、登山の安全網の構築に寄与する「YAMAPみまもりサービス」も展開している(※5)。

参考

富士山で遭難した登山者をドローンで捜索! 消防署の導入訓練に密着(TIME&SPACE)
https://time-space.kddi.com/au-kddi/20191105/2764

※1 富士登山の遭難者救助を目的とした、ドローン山岳救助支援システムの実証実験に成功(2018年11月15日KDDIリリース)
https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2018/11/15/3484.html

※2 御殿場口までの道路冬季封鎖のため

※3 山頂から御殿場口への下山時、登山ルートを外れ道迷いが発生しやすいエリア

※4 LPWAの通信エリアについては、携帯電話の通信エリアと若干異なる場合がある

※5 山で"人とすれ違う"ことが、誰かの命を救う! 登山アプリYAMAPが、電波の届かない場所でもスマートフォンだけで現在地を共有できる新機能をリリース~仕組みは特許申請中。すべてのユーザーが無料で利用可能~(2019年7月16日YAMAPリリース)
https://corporate.yamap.co.jp/news/archive/2019-07-16/