2019年10月28日、太陽ホールディングスの子会社であるサウマネジメントは、 内閣府及び準天頂衛星システムサービスより公募された「2019年度みちびき(*1)を利用した実証実験」に採択されたことを発表した。

 近年、IoT(Internet of Things)の進展により地上のさまざまなデバイスからセンサーデータの収集が可能となってきている。これらのデータに加えて、広域の地球観測衛星データとドローンにより、一段と精密に観測された特定地域のデータをうまく組合せて融合することが出来る。さらに、“みちびき” のような衛星測位システムを活用して観測地点の位置情報をベースに分析することにより、これまでに無かった新たな付加価値のある情報サービスを創出できる可能性がある。

 サウマネジメントは、今回の実証実験成果を新たなIoT×宇宙関連ビジネスの展開に活用していく、としている。

採択実験の概要

(1)実証実験名
 MADOCA(*2)を利用したアフォーダブルなドローン観測サービス構築実証実験

(2)実証実験概要
 ドローンを利用したソリューションサービス市場の拡大に伴い、ドローン観測によるサービスは農業、インフラ分野などへの応用が期待されている。しかし、従来の民生用ドローンでは搭載されているセンサーの観測データ位置精度が数メートルに及び、位置精度向上のためには観測対象エリアへの標定点(GCP:Ground Control Point)の設置・測位による位置補正が必須となっている。

 “みちびき” の「センチメータ級測位補強サービス」であるMADOCAを利用することで、GCPの大幅な削減によるコスト低減が可能となる。

 同実証実験では、小型軽量なハイパースペクトルセンサーを使い、アジア諸国の農村・森林地域や海域でも十分な位置精度を確保でき、かつ手頃なコストでのドローン観測サービス構築の実証実験を国内及びマレーシア企業の協力を得てマレーシア現地で実施する。

 実証後の事業化に向けては、安価な国産小型軽量ドローン搭載型ハイパースペクトルセンサーの、優れたスペクトル分解を利用した農業(パーム椰子等)、インフラ(老朽化したインフラからの有害物質検知等)分野を中心とした付加価値のある情報サービス構築を、地球観測衛星データの活用も含めて進めていく、としている。

*1 みちびきは、準天頂軌道の衛星が主体となって構成されている日本の衛星測位システム(衛星からの電波によって位置情報を計算するシステム)である。英語ではQZSS(Quasi-Zenith Satellite System)と表記する。

*2 MADOCAは、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進め、アジアオセアニア地域でのセンチメータ級測位補強の実証の位置づけでサービス提供されている高精度測位補正技術である。
(MADOCA:Multi-GNSS Advanced Demonstration tool for Orbit and Clock Analysis)

参考URL
・みちびき(準天頂衛星システム)ウェブサイト
「2019年度 みちびきを利用した実証実験公募」に関するお知らせ
https://qzss.go.jp/overview/information/applidemo_191024.html