2019年10月17日、ウェザーニューズは朝日航洋、テラドローンと共に、電力施設内におけるドローンを使った施設点検、および有人ヘリコプター/ドローンの運航管理実験を行ったことを発表した。

 ウェザーニューズの有人ヘリコプター運航管理システム「FOSTER-GA」と、テラドローンが提供しているドローン運航管理システム “Terra UTM” が情報連携することにより、(図1)有人機と無人機の位置関係が一つのモニター上にリアルタイムに一元表示/管理できた。更に朝日航洋が保有する有人ヘリコプターに、ウェザーニューズの機内持ち込み型運航支援ツール「FOSTER-NAV」を通じて迅速にその情報を伝えることで、ヘリコプターとドローン間の衝突回避の有効性を確認することができた(図2)。

図1:ウェザーニューズの有人ヘリコプター運航管理システムFOSTER-GAとテラドローンが提供しているドローン運航管理システム “Terra UTM” 情報連携の仕組み
図2:2019年10月15日実証実験の画面。ドローン【DO74】(左)と有人ヘリコプター【AAC01】が9㎞以内に近づいたことで、接近を知らせるアラートが赤く表示されている。アラートによってドローンの接近を察知した地上運航管理者が、ドローンの進行方向を飛行する有人航空機のパイロットに伝え、パイロットから「了解」のメッセージを受信した。

 同実験の背景として、有人航空機とドローンの衝突による事故が海外にて発生、国内においてもニアミス事例(※1)が発生していることが挙げられる。

※1:有人航空機のニアミス案件の実例「航空機と無人航空機、無人航空機同士の衝突回避策等について(国土交通省航空局、2016年11月8日)http://www.mlit.go.jp/common/001153086.pdf 」P.16参照。

 同実験では、朝日航洋が保有する有人ヘリコプターを空港から離陸させ、同時にテラドローンが保有するドローンを電力施設内で飛行させ、これらの衝突を模擬することで、上記システム連携の動作を確認・評価した(図3)。ただし実際の衝突を回避する措置として、有人ヘリコプターとドローンの飛行高度を大きく変え、水平位置関係のみにて衝突を模擬する実証を行った。

図3:10月15日の実証実験の様子。左はウェザーニューズ、右はテラドローンのスタッフ。気象/有人ヘリコプター/ドローンを監視

 電力施設点検用ドローンと有人ヘリコプターの共同作業の安全が担保されることで、電力施設点検用ドローンの社会実装をより一層進めることが可能になった(図4)。

図4:有人機と無人機の双方向情報連携に伴う安全性向上

 ウェザーニューズは今後、悪天候回避に加え、衝突回避技術を確立することで、有人ヘリコプターとドローンがともに安全に運航できる環境整備を進めていく、としている。