2018年10月23日、オプティムは、ドローンやロボットなどが撮影した画像をAIがディープラーニングなどを使って解析し検出対象が検出されたと判定された際に、その対象が検出された地点へドローン・ロボットなどが移動し、対象に応じた所定の装置を駆動する技術を特許として権利化したことを発表した。同特許を用いることで、不必要な農薬散布を行うことなく、ピンポイントでの農薬散布や施肥を実施したい地点のみに対して肥料の散布を実施できる。

また、この特許に基づいたピンポイント農薬散布テクノロジーはすでに実用段階に入っており、大豆では 90%(※1)~99%(※2)の農薬使用量の削減に成功している。なお、他の作物でも実施可能であり、同特許は現在世界主要各国にて特許出願している。

特許活用例

同特許の活用例として、農業分野においてドローンやロボットなどを用いたピンポイント農薬散布栽培への活用ができる。ドローン・ロボットなどが圃場の上を飛行して撮影を行う。撮影された画像と、病害虫が発生している画像をAIを用いて比較判定を行い、発生地点にて農薬散布機能を駆動する。これにより、病害虫が発生している地点のみピンポイントで農薬を散布することができる。

活用イメージ図(ピンポイント農薬散布テクノロジー利用例)

1.ドローンが圃場を撮影し、病害虫発生地点を判定

2.発生地点へドローンが移動

3.農薬を散布

ピンポイント農薬散布栽培実証実験について

農業生産法人イケマコ(※3) が管理する88アールの大豆畑を2分割し、一方は通常の育て方を実施、もう一方は「OPTiM スマート農業ソリューション」を活用した、ドローンを用いたピンポイント農薬散布栽培を実施し、残留農薬量、収量、品質、労力・農薬コスト削減効果の実証実験を行った。

残留農薬検査詳細

以下の検査機関および検査方法にて残留農薬の検査を行った。その結果、ピンポイント農薬栽培にて育てられた大豆は、残留農薬が「不検出」であるという検査結果が出た。
・検査機関:ブルーム(佐賀県登録 環境計量証明事業者)
・検査監修:佐賀大学農学部 渡邉 啓一 教授
・検査方法
 ‐対象となる各大豆畑(通常栽培、ピンポイント農薬栽培)の 5カ所から株を採取(合計10株。両大豆畑の境目を避けて採取)
 ‐各圃場の5株を1検体として(合計2検体)、4農薬(殺虫剤)について検査
 ‐ガスクロマトグラフ質量分析(※4)にて測定

検査結果詳細(単位 ppm)
農薬名通常栽培基準値(※5)ピンポイント農薬散布栽培
エトフェンプロックス3不検出(0.01 以下)
クロラントラニリプロール1不検出(0.01 以下)
テフルベンズロン1不検出(0.01 以下)
ジノテフラン2不検出(0.01 以下)

同実証実験にて栽培された大豆はスマートやさいの「スマートえだまめ」と命名され、福岡県福岡市にある百貨店の福岡三越にて通常大豆(えだまめ)の約3倍の価格で販売されたうえ、好評のうち完売した。

特許概要

 特許番号:特許第6326009号
 発明の名称:無線航空機、位置情報出力方法及び無線航空機用プログラム。

(※1) 農業生産法人イケマコが管理する88アールの大豆畑を2分割し、一方は通常の育て方を実施、もう一方はドローンを用いたピンポイント農薬散布栽培を実施し、使用した農薬量を比較した割合。削減量については、年度や地域で異なる場合がある。
(※2) ハスモンヨトウを中心とした害虫に関する農薬に対して、兵庫県篠山市地域で定めた農薬使用量と、ピンポイント農薬散布テクノロジーを用いて散布した農薬の使用量を比較。削減量については、年度や地域で異なる場合がある。詳しくは以下のWebサイトを参照。https://www.optim.co.jp/news-detail/40249
(※3) 所在地:佐賀県佐賀市、代表取締役:池田 大志
(※4) 混合物を高感度で分離分析する分析手法
(※5) 公益財団法人 日本食品化学研究振興財団が定めた基準値