2026年6月3日から5日にかけて、千葉県・幕張メッセで開催された「Japan Drone 2026」において、通信計測・ネットワークソリューションを主力事業とし、近年はドローンを活用したインフラ点検ソリューションも展開する韓国企業Accuverと、高精度測位ソリューションを提供するイネーブラーは、共同で「SIVION」を出展した。
SIVIONは、LiDARによる自己位置推定を活用し、GPSが利用できない環境でも自律飛行による点検業務を可能にするソリューションだ。AIによる損傷検出や点検レポートの作成、修繕費用の概算積算までを一連の流れで行えることを特徴としており、インフラ点検の効率化・省力化に向けた技術として紹介された。国土交通省では、点検の効率化や省力化を目的として「点検支援技術性能カタログ」を公開しており、SIVIONも「非GPS環境対応の自律飛行ドローンとAIを活用した橋梁点検支援技術」として掲載されている。
▼国土交通省-点検支援技術性能カタログ
https://www.mlit.go.jp/road/tech/pdf/catalog_gaiyouban001.pdf
非GPS環境でも自律飛行できる橋梁点検向けドローン
SIVIONの大きな特徴は、GPSが利用できない環境でも安定した飛行が可能な点だ。
ドローン「SIVION Wing」は、機体上部に高解像度カメラ、下部に回転式のLiDARモジュールを搭載する。LiDARモジュールが機体周辺の点群データを広範囲かつ高速に取得し、周囲の特徴点をもとにリアルタイムで自己位置推定することで、GPSに依存しない飛行を実現している。
点群データを活用して自動飛行ルートを生成
SIVIONは自動飛行による点検にも対応する。
まず、操縦者が手動でドローンを飛行させると、LiDARモジュールが周囲の点群データを取得する。2回目以降は、取得した点群データから3Dマップを生成し、周囲の障害物などをドローンが把握して自律的に自動飛行を可能にする仕組みとなっている。機体にはLTE通信機能を搭載しており、取得したマップデータはリアルタイムで独自クラウドの「SIVION Web」に送信される。
オペレーターがPC上のSIVION Webで点検箇所や点検対象の高さなどを入力したり、マップ上で点検範囲を指定しらりするだけで、対象物との離隔を保ちながら点検箇所を効率よく撮影するための飛行ルートが自動生成される。飛行開始後はドローンが自律飛行し、点検に必要な画像を取得する。これにより、手動操縦で発生しやすい撮影漏れや画角のばらつきを抑え、点検品質の均一化につなげられる。
AIが損傷を検出し、レポート作成や積算まで対応
撮影した画像は、市販の3Dオルソ画像生成ソフトウェアで1枚の3Dオルソ画像に変換した後、自社開発の解析ソフト「SIVION Editor」に取り込む。AIは10万枚以上の画像データを学習しており、コンクリート表面のひび割れや剥離、鉄筋露出などの損傷の種類や大きさを自動検出し、画面上に表示する。
検出対象となる損傷の種類やサイズは設定できるため、点検目的に応じた解析が可能だ。解析結果はCAD図面やWord、Excel形式のレポートとして出力できるほか、補修費用の積算資料として利用できる形式での出力にも対応する。一方で、画像解析を用いた技術であるため、コンクリート内部の浮きなど、表面に現れない損傷は検出対象外となる。
ハードウェアからソフトウェアまで自社開発、小型機も展示
SIVIONは、ドローン本体やLiDARモジュールなどのハードウェアから各種ソフトウェアまで自社開発しており、韓国に研究開発拠点を構える。当初は他社製ドローンにLiDARモジュールを搭載して自己位置推定を実現しようとしたものの、十分な性能を確保できなかったことから、機体を含めた自社開発に至ったという。
今回の展示では、LiDARモジュールを小型化して搭載した屋内点検向けドローンのプロトタイプも公開した。橋梁の点検は5年に1回の近接目視点検が義務付けられている。また、国土交通省によると、日本には橋長2m以上の道路橋が約73万橋存在し、建設後50年以上経過する橋梁の増加も課題となっている。こうした背景を踏まえ、担当者は、日本国内では高さ15~20m程度の低い橋脚が多いと説明する。同機はこれらの小規模な橋脚点検への対応を想定し、開発を進めている。
