6月3日から5日までの期間、千葉県の幕張メッセにて「Japan Drone 2026」が開催された。ドローン関連企業が一堂に集まる中、TEADはドローンをロストした場合の対策用システムを初めて公開した。

 機上カメラで飛行経路下が無人地帯であることを確認しながら目視外飛行を行うレベル3.5飛行の実装により、ドローンを目の届かない遠方まで運用する事例が増え始めている。もちろん、各社は安全管理を徹底した上でレベル3.5飛行の運航を行っていると考えられるが、万が一トラブルが発生し、機体をロストした場合にどのような対策を備えているだろうか。

920MHz帯を活用し、ロストしたドローンを探索

写真:展示された発信機
発信機はGPS搭載有り、無しの2タイプ。アンテナは80mm。-20℃~+50℃の環境に対応。

 一般的なドローンの構造では、飛行中に電源が落ちると位置情報は取得できなくなってしまう。こうした事態に備え、TEADはドローン本体と独立した電源系統を備えた発信機である「920MHz帯発信機 & 探索受信機」を開発している。

 一般的なドローンでは、送信機やリモートIDの通信に2.4GHz帯が利用されており、この周波数帯はスマホやWi-Fiルーターなど身近な電子機器でも広く使用されている。この電波は近距離で複数発信すると混信しやすいという弱みがある。一方、920MHz帯発信機 & 探索受信機で使用される920MHz帯は、広く使われている2.4GHz帯とは異なる周波数帯を使用することで混信が起きにくく、長距離通信にも適していることから、広範囲で使用できるという利点がある。その結果、ドローンの探索用システムに適しており、同製品に採用したという。

写真:探索受信機
探索受信機の受信機部の大きさは108×65×14mm。持ち手の部分にディスプレイがあり、方向と電波の強さが表示される。

 発信機は常時電波を発信しており、ディスプレイと四角いパネル状のアンテナを備えた探索受信機でその電波を受信する。金属探知機の要領で受信機を発信機に向けると電波が強くなり、ディスプレイに表示される。受信機の向きを変えながら最も電波が強くなる方向を探せば、その先に発信機を搭載した機体があることが分かる仕組みだ。

 一見するとラジオの遠距離受信やダウジングのようにも思えるが、実用性は高いという。山林の奥深くに墜落した機体や、深い雪に埋もれた機体であっても発見できるとしている。落下地点によっては、ロストした機体は木に引っかかったり、草の茂みや雪に埋まってしまうなど、目視で捉えにくい場合も多い。さらには、見つけられずに放置しておくとバッテリーからの火災も考えられる。そのようなリスクがある中で、電波によって墜落機を見つけ出せるシステムは対策案として有効だ。

 ドローンに搭載する発信機の寸法は、37×28×11mmで本体重量はわずか10g。900MHz帯は低消費電力という特性もあり、内蔵された3.7Vのリポバッテリーの満充電で約2か月間動作できる。同製品は現在開発中で参考価格は約2万5000円としている。

空からロスト機を探すGPS受信機と多数機管理システム

 さらに GPSを搭載した受信機(オプション)も用意されている。これはロストしたドローンとは別の機体を用意し、その機体にGPS搭載受信機を装着することで上空から広範囲の探索を行うという仕組みだ。前述した探索受信機で捜索が難しい場合などに役立てられ、GPS搭載受信機ではスマホの地図上に電波強度と飛行中のドローンの位置情報を表示でき、探索効率が向上する。

写真:長距離位置情報伝送用の受信アンテナ
GPS付き発信機からの電波を受信する長距離位置情報伝送用の受信アンテナ。

 また、同社は920MHz帯発信機 & 探索受信機の仕組みを応用し、目視外飛行を行う複数のドローンをリアルタイムに監視する「長距離位置情報伝送」も開発。これは受信アンテナ、受信機、LTEルーターで構成され、受信した発信機の電波強度と位置情報を地図上へリアルタイムに表示できる。1基の受信アンテナで100機以上の情報を管理でき、各機体の飛行方向や飛行速度を把握することが可能になる。

 GPS搭載発信機のバッテリー駆動時間は約7日間。電池残量が少なくなると自動的にGPS機能を停止し、発信のみを維持する省電力機能も備わっている。これにより、位置特定に必要な電波をより長期間発信し続けることができる。GPS搭載発信機の参考価格は約3万円だという。

「ココヘリ」の技術をドローンへ応用、将来は空飛ぶクルマにも

 同製品の開発者は、過去に山岳遭難者捜索サービス「ココヘリ」のシステムを開発した経緯があり、本システムはココヘリで培われた遭難者捜索の技術やノウハウをドローン向けに応用・発展させたものといえる。

 今後、レベル3.5飛行やレベル4飛行が普及すれば、機体を見失うリスクもこれまで以上に高まるだろう。山岳地帯など広大なエリアで墜落した機体を、人が徒歩で闇雲に捜索することは現実的ではない。このシステムを活用すれば、墜落機のおおよその場所を特定して効率的な捜索が可能になる。将来的にはドローンだけでなく、空飛ぶクルマや有人航空機への搭載も視野に入れているという。

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