6月17日から20日まで千葉県・幕張メッセで開催された「CSPI 2026」に、ドローンを活用したインフラ点検を手がけるジャパン・インフラ・ウェイマーク(JIW)が出展した。ブースでは、米Skydioのドローン「Skydio 2+」「Skydio X10」や、自動離着陸・充電に対応するドローンポート、橋梁点検用の記録アプリ「Waymark Note」を展示し、現場条件に応じた機体の使い分けと、撮影後の写真整理や記録作成までを含む点検業務の効率化を紹介した。

 JIWはこれまでに1,500橋以上でドローン点検を実施している。近年は、ドローンの使用が条件として発注仕様書に明記された案件も増えており、受託件数や問い合わせも増加しているという。

狭隘部では「Skydio 2+」、広範囲・赤外線撮影では「Skydio X10」

 JIWが橋梁点検に使用している主な機体が、Skydio 2+とSkydio X10である。Skydio X10は2023年9月に発表され、日本では2024年10月に出荷が始まった最新機体だが、担当者は「Skydio 2+もまだまだ活躍している」と話す。

 その理由の一つが機体サイズである。コンパクトなSkydio 2+は、橋桁の間など、橋梁点検で見られる狭い空間へ進入しやすい。一方、Skydio X10はSkydio 2+より大型だが、高解像度の可視光カメラや赤外線カメラを備える。対象物から距離を取りながら広い範囲を撮影するほか、表面温度の違いからコンクリート内部の浮きが疑われる箇所を把握するといった用途が想定される。現時点ではSkydio 2+が橋梁点検の主力機だが、狭隘部ではSkydio 2+、広範囲の撮影や赤外線撮影ではSkydio X10というように、現場の構造や取得するデータに応じて機体を使い分けている。

写真:Skydio 2+
Skydio 2+。バッテリー装着・アンテナ展開時の機体寸法は229×274×126mm。カメラは真上方向まで向けられる。
写真:Skydio X10
Skydio X10。飛行時の機体寸法は790×650×145mmで、最大飛行時間は40分。

橋梁点検では現地操縦を基本、2人での運用も検討

 ブースには、Skydio X10の自動離着陸や充電に対応する「Skydio Dock for X10」も展示されていた。JIWはこれまで、ドローンポートを活用し、操縦者が現地へ赴かない遠隔点検についても検証している。

写真:JIWの展示ブース
JIWのブース。手前は「Skydio Dock for X10」。

 一方、現在の橋梁点検では、操縦者が現地で機体を飛行させる運用を基本としている。機体から発生する音や風など、現地で得られる情報も飛行状況を判断する材料になるほか、遠隔操縦では映像伝送の遅延も考慮する必要があるためだという。

 道路橋の定期点検は5年に1回の頻度で実施することが基本とされている。週に1回など高い頻度で同じ場所を巡視するのであれば、ドローンポートからの自動運航が有効な場合もある。しかし、点検の実施間隔が長い橋梁では、その間に草木が成長するなど周辺環境が変化する。JIWは、こうした現場ではスタッフが状況を確認しながら操縦する方法が適しているとみている。

 現在は、操縦者、点検記録者、現場・安全管理者の3人1組で点検する体制が基本だ。運用ノウハウが蓄積されてきたことから、現場の条件によっては、今後2人で実施する体制への移行も検討しているという。

図面と写真を紐づける「Waymark Note」

 点検業務は、ドローンで写真を撮影すれば完了するものではない。撮影した写真を整理し、撮影位置や損傷の内容を図面と紐づけ、点検調書へまとめる作業が必要になる。

 従来は、ドローンで点検画像を取得しても、撮影位置を紙の図面へ手書きで記録していた。シャッターを切った回数をカウンターで数え、写真番号との照合に利用することもあったという。しかし、操縦者が誤って連写した場合などには、カウンターの数字と実際の写真枚数にずれが生じる。撮影位置が分からなくなり、写真の整理や図面との紐づけに時間を要することが課題となっていた。

 こうした点検現場の課題を受け、JIWが開発したのが橋梁点検用の記録アプリ「Waymark Note」である。撮影時にタブレット上の図面へマーカーを配置して番号を付け、撮影後に写真データを取り込むことで、図面上の撮影位置と写真を紐づけて管理できる。損傷の種類は、「ひび割れ」などあらかじめ登録された選択肢から入力できる。記録が入力されていない箇所は赤色で表示されるため、記録漏れの確認にも利用できる。図面上の該当箇所を選択すれば、紐づけられた写真を呼び出せる。

 データはCSV形式で出力できるほか、2026年6月からは、図面上に記録した損傷スケッチや文字などをDXF形式のCADデータとして出力する機能も提供している。JIWは将来的に、アプリへ記録したデータをもとに、点検調書まで自動生成できる仕組みを目指している。

写真:タブレットに表示された「Waymark Note」画面
「Waymark Note」の画面。図面、写真、点検結果を一つの画面で確認できる。

 Waymark Noteは2025年1月にβ版のトライアル提供を開始し、同年5月に正式リリースした。担当者によると、利用者から寄せられた要望を反映し、正式リリースから約1年間で約40回のアップデートを行ったという。

 JIWは、ドローンによるデータ取得だけでなく、その後の写真整理や記録作成までを含めた点検業務の効率化を進めている。機体と記録管理ソフトウェアの双方から、橋梁点検の省力化を支援する考えだ。

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