フレネルゾーンの説明図。プロポと機体の間の第1フレネルゾーン。
(出所:資料をもとにせりぽよが作成)

 フレネルゾーンとは、無線通信において電力損失をすることなく電波が到達するために必要とする領域のことで、送信アンテナと受信アンテナを結ぶ直線を中心とした楕円体の空間だ。

 ドローン操縦におけるフレネルゾーンは送信アンテナである送信機(プロポ)と電波を受信するドローンの間を結んだ楕円状の範囲のことを言う。

フレネルゾーンの「見通しが良い」とは

見通しが良い状況の説明図。障害物との距離が確保された状態。
(出所:資料をもとにせりぽよが作成)

 電波伝達を行う上では、フレネルゾーンを結ぶ送信アンテナと受信アンテナ間における見通しの良さが重要だ。

 無線通信での「見通しが良い」という表現は、各アンテナが物理的に確認できる状態ではなく、電波伝達のために必要な空間が障害物に遮蔽されず確保されている状態を示す。そのため、無線通信・電波伝達での「見通しが良い」という表現は、フレネルゾーンがしっかり確保されている状態を意味する。

 フレネルゾーンを結ぶ見通し線と障害物の距離をクリアランスと呼び、このクリアランスが広く保たれている状態は電波通信の品質が低下しにくい。安定した通信のためには、フレネルゾーンの60%以上のクリアランスを確保するのが理想的だ。

 なお、送信アンテナと受信アンテナの位置が低い場合はフレネルゾーンが地面等と被ることがあるが、この場合は見通しが良い状態ではなく、フレネルゾーンの楕円が適切に確保されていないため、電波伝搬の品質が落ちる可能性がある。

フレネルゾーンの半径とアンテナの高さについて

 より安定した電波伝搬を行うためには、フレネルゾーンのクリアランスが確保されている必要がある。アンテナの高さが低すぎると地面が障害物として通信を阻害する可能性があるように、見通しが良い状態を確保するためにはアンテナの高さが重要だ。

 先述したようにフレネルゾーンは60%以上を確保する必要があるため、アンテナの高さはフレネルゾーン半径の60%以上の高さがあると通信品質が高いフレネルゾーンを担保できる。

 フレネルゾーン半径r[m]は以下の図に記載されている計算式で算出できる。なお、λは波長[m]であり、通信に使用している周波数帯により異なる。例えば2.4GHz帯では約0.125m、5.7GHz帯は約0.053mとそれぞれλを設定して計算可能だ。

フレネル半径の計算方法
(出所:資料をもとにせりぽよが作成)