代替的安全対策とは、無人航空機(ドローン)の操縦者が飛行許可承認の要件を満たしていない場合に必要な安全対策のことだ。

 操縦者登録時に総飛行時間、夜間飛行時間、目視外飛行時間、物件投下回数を記入した際、それぞれが飛行許可承認申請の要件を満たしていない場合は、対象の操縦者が安全に操縦できるよう代替的安全対策を追加しなければならない。

飛行経歴と許可・承認の関係

 10時間以上の総飛行時間(飛行経歴)や能力を有していない、または飛行形態に応じた実績がない場合は飛行許可承認申請を行うことができない。

 この場合は航空法上の許可承認が不要な場所(屋内等)にて、10時間以上の飛行訓練を実施した後に申請するか、「飛行訓練のための申請」をする必要がある。

 飛行経歴が10時間未満の者が「飛行訓練のため」の申請をする場合、「少なくとも10時間以上の飛行経歴を有し、飛行の方法に応じて必要な能力を有した者」の下で飛行を行うこと等が許可・承認の条件となる。

許可・承認を得るための代替的安全対策

画像:ドローン情報基盤システムの代替的安全対策等の入力画面
(出所:ドローン情報基盤システム)

 代替的安全対策が必要な場合は、操縦者ごとに画像のような記入欄へ実際に行う対策を記載する必要がある。

 記入欄は該当するものを選択するほか、以下のような措置を組み合わせることで、「許可」や「承認」を得やすくなると考えられる。

1. 10時間以上の飛行経歴を有し、飛行の方法に応じた必要な能力を有している監督者を配置すること
2. 第三者の立ち入りを制限した範囲を飛行させること
3. 「ジオ・フェンス」機能がついたドローンを使用すること
4. ドローンに係留装置をつけること

実際に飛行許可承認が降りた代替的安全対策の事例

 実際に代替的安全対策を記入した上で飛行許可承認申請を行い、許可承認が降りた事例を紹介する。

1. 飛行経歴4時間の者が、四方がネットで囲まれている敷地において第三者の立ち入りが制限され、ジオ・フェンス機能を設定し飛行範囲の制限を行い、十分な飛行経験を有する者の監督の下で飛行させる。

2. 飛行経歴2時間の者が、飛行させる者が管理する敷地内において第三者の立ち入りが制限され、ジオ・フェンス機能を設定し飛行範囲の制限を行い、十分な飛行経験を有する者の監督の下で飛行させる。

3. 飛行経歴1時間の者が、補助者を配置して注意喚起をすることにより、飛行範囲内に第三者が立ち入らないようにし、機体をロープで係留し飛行の範囲の制限を行い、十分な飛行経験を有する者の監督の下で飛行させる。