キャリブレーション
(出所:資料をもとにせりぽよが作成)

 ドローンにおけるキャリブレーションとは、ドローンの各センサーや機器を正確で安定した飛行を可能にするために正しい状態へと調整することを言う。ドローンはコンパスや加速度センサー・ジャイロセンサーなどさまざまなセンサー類が存在するため、これらが使用頻度や周囲の環境変化につれて水準状態からズレてしまったり、エラーが発生したりする場合に行う。

 以下では、ドローンにおいて実行出来るキャリブレーションの例として、5つを紹介する。

コンパスキャリブレーション(磁気センサー)

 コンパスキャリブレーションとは、ドローンのコンパスが金属等の影響により強い磁気干渉が行われた時などに行うべきキャリブレーションだ。

 コンパス(磁気センサー)は、地磁気の影響を受けやすいため、定期的に行う必要がある。特に、新しい飛行場所に移動した場合や、強い磁気干渉がある場所で飛行する場合、長期間使用していなかった場合などは、必ずコンパスのキャリブレーションを実施することが望ましい。

 コンパスキャリブレーションを行わずに飛行すると、ドローンが正しい方向に飛行できなくなったり、予期しない動作をしたりする可能性があり、最悪の場合は墜落につながる危険性がある。

 コンパスキャリブレーションを行う際は、周辺に金属製の物体があると磁気干渉が発生するため、なるべく磁気の影響が少ない場所で行うこと。例えば、手首に金属製ベルトの腕時計やスマートウォッチを装着した状態でコンパスキャリブレーションを行うと、適切に磁気センサーを処理できずエラーが発生することもある。

 このため、周辺の磁気状況だけではなく手首等に金属製の物を装着していないかを確認してからキャリブレーションを行うこと。

 磁気干渉が起きやすい環境は、鉄骨製の建造物内部、ブルドーザー等の工事用機器などが代表的な例だ。

 なお、エラーが発生するからと繰り返しコンパスキャリブレーションを行うとコンパスの水準が狂い、エラー状態でも正常と判断されることがある。

IMUキャリブレーション(加速度センサー・ジャイロセンサー)

 IMUキャリブレーションは、ホバリング時の安定性や飛行中の停止精度などに問題がある時に行うことが多い。加速度センサー・ジャイロセンサーは飛行中のドローンにおける姿勢制御に使用するため、姿勢制御に問題が発生している場合はIMUキャリブレーションにて修正する必要がある。

 キャリブレーション中は手を触れたり振動を与えたりせず、水平で磁気の乱れがないところで静置しながら行うこと。

バッテリーキャリブレーション

「DJI Phantom 4 Pro+ V.2.0」のバッテリー情報(プロポ画面)

 ドローンに使用されるリチウムポリマーバッテリーは、バッテリー内部に「セル」というものが存在し、複数のセルがほぼ同じ電圧を保つことでドローンの飛行に必要な電力を使用できる。セル同士に電圧差が生じると墜落や急激なローバッテリーの原因になるため、セル電圧差がある時はバッテリーキャリブレーションを行う。

 バッテリーキャリブレーションはバッテリー残量が約5%程度になるまで放電し、その後すぐに100%まで充電を行う。もし解決しない場合は繰り返し行うこと。放電後に満充電をせず放置すると過放電を起こし、以降は利用できない状態になることも多いため注意すること。

ジンバルキャリブレーション

 ドローンで滑らかな動きで撮影をするためにはジンバルの動きがスムーズであることが最低条件だが、このジンバルに傾きが生じている場合は映像の回転軸に傾きが発生することがある。このような時はジンバルキャリブレーションを行い、ジンバルの傾きを修正する必要がある。

 コンパスキャリブレーション、IMUキャリブレーションと同様、指示以外では機体に触れず、コンクリート駐車場や鉄筋の建造物の付近など磁力の影響が弱い場所でキャリブレーションを行う必要がある。

プロポのスティックキャリブレーション

 プロポのスティックもドローンと同様に機械であるため、センサー等の不具合やスティック間のつまりなどで適切に操作が処理されないことがある。本来プロポのスティックは左右ともに何も触れていない0の状態がデフォルトとなっており、この状態をニュートラル状態と呼ぶ。送信機がずっとエラー音を発したり、スティックに触れていないのに適切にホバリングが行われない状態に陥ったりする場合は、スティックキャリブレーションを行うこと。基本的には機体の電源が入っていない状態で行う。