ドローンにおける指定試験機関とは、国家資格「無人航空機操縦士」の国家試験実施や合否判定を行う、国土交通省が指定する民間機関のことを言う。公正・中立性の確保の観点から全国で法人が選ばれ、2024年5月時点では一般財団法人日本海事協会が指定されている。

指定試験機関のイメージ

図版:指定試験機関と登録講習機関の違い

 指定試験機関は、自動車運転免許を取得する際の運転免許センターのようなポジションにある。この場合、登録講習機関は公認の教習所に該当する。

 自動車運転免許では運転免許センター(都道府県警察)が試験全般の事務を担い、学科試験は必ず運転免許センターで受験しなければいけない。しかし、実技試験および適性検査(健康診断)は教習所で受験・受検しても問題無いため、受験者の多くは教習所を利用して自動車運転免許を取得する。

 無人航空機操縦士においても同様に、指定試験機関は試験全般を担当するが、学科試験以外は指定試験機関が実施する試験・検査を必ずしも受けなくてよい。ただし、指定試験機関の試験・検査を利用しない場合、実地試験は登録講習機関の修了審査、身体検査は民間医療機関の健康診断を個別に受ける必要がある。

指定試験機関の役割

 指定試験機関は、無人航空機操縦士試験(学科試験、実地試験、身体検査)の実施や合否判定を行う。具体的な業務としては、試験問題の作成・管理、試験会場の設置・運営、受験申請の受け付け、受験者への試験実施通知、合格者への合格証明書の交付等が挙げられる。

 なお、指定試験機関で発行されるのは各試験の合格証明書であり、無人航空機操縦士の技能証明書ではないため、注意が必要だ。

指定試験機関の要件や監督

 指定試験機関は、試験業務における統一性・公平性を確保する観点から、実施体制や経理的基礎等の要件を満たす必要がある。国は一者のみを指定試験機関として指定し、5年ごとに更新審査を行う。

 なお、指定試験機関は、不正受験者に対する処分において、国土交通大臣の職権を代行できる。

 指定試験機関は国の監督下にあり、業務改善命令や指定取り消し等の措置を受ける可能性がある。これは、試験の公正性と質の確保が目的だ。