無人航空機の操縦者は特定飛行を実施する際、飛行させる機体の詳細や飛行の目的、方法、時間、経路、立入管理措置などについてが記載されている「飛行計画」と呼ばれる資料をあらかじめ国土交通大臣に提出しなければならない。なお、飛行計画を提出することは「提出」ではなく「飛行計画を/の通報」と呼ばれることがほとんどだ。

 無人航空機の操縦者が飛行計画を通報する際には、DIPS2.0の飛行計画通報機能を使用して以下のような情報を提出する必要がある。

1. 無人航空機の登録記号及び種類並びに型式(型式認証を受けたものに限る)
2. 無人航空機を飛行させる者の氏名並びに技能証明書番号(技能証明を受けた者に限る)及び飛行の許可・承認の番号(許可・承認を受けた場合に限る)
3. 飛行の目的、高度及び速度
4. 飛行させる飛行禁止空域及び飛行の方法
5. 出発地、目的地、目的地に到着するまでの所要時間
6. 立入管理措置の有無及びその内容
7. 損害賠償のための保険契約の有無及びその内容

飛行計画を通報する目的

 無人航空機を飛行させる際に事故や重大インシデントが発生しないよう留意するのはどのような飛行でも同じだが、飛行リスクが高まる特定飛行を実施する際はより細心の注意を払わなければならない。

 飛行計画を通報する目的のひとつには、国土交通省が離着陸場所や飛行経路がほかの無人航空機の飛行と近接していないかを把握することだ。

 例えば無人航空機同士の距離が近い状態で離着陸や飛行を行うと、同周波数帯の電波が混線し送信機と無人航空機間の通信に支障をきたす可能性がある。もちろん、飛行経路や離着陸場所が近い場合は機体同士が衝突する可能性も危惧しなければならない。機体同士の衝突は単なる操縦ミスだけではなく突風などの不可抗力でも発生しうる。

 飛行計画の通報を受けた国土交通省が安全確保の必要があると判断した場合、通報者に飛行する日時や経路の変更指示が届く。変更指示を受けた場合、操縦者はその指示に従わなければならない。

 飛行計画の通報が義務付けられているのは特定飛行に限るが、事故や重大インシデントを回避する必要があるのは特定飛行に該当しない飛行でも同じだ。そのため、義務付けられていない飛行を実施する際も飛行計画を通報するのが望ましい。

 なお、第三者が通報した飛行計画はDIPS2.0上で確認することができる。飛行計画を通報する際に飛行計画の重複で登録出来ない場合については、必要に応じて確認できる飛行計画に表示される連絡先に相談して飛行計画を通報すること。

特定飛行の義務:飛行計画の通報

 特定飛行を実施する際の義務はいくつかあるが、その中のひとつとして飛行計画の通報は航空法で義務付けられている。

 原則として特定飛行を実施する前に飛行計画を通報しなければならないが、事前に飛行計画の通報が困難な場合(通報システムの障害発生時)は特定飛行を実施した後の通報でも差し支えない。

 飛行計画の通報を行わずに特定飛行を行った場合、航空法第157条の10に従い操縦者に30万円以下の罰金が科される。