水中ドローンとは、水中を潜水・潜航可能な小型無人機の通称。小型のROV(Remotely Operated Vehicle)=遠隔操縦無人潜水艇を指すことが多い。操縦者は陸上や船上などの遠隔から機体を操縦するが、中にはAUV(Autonomous Underwater Vehicle)と呼ばれる自律型無人潜水艇もある。

 水中には電波が伝わりにくいため、機体とコントローラーは有線接続して操縦を行うとともにリアルタイムの映像を確認することができる(AUVはケーブルを持たずに自律航行できる)。

役割

 水中ドローンは人間の目としての役割や一部機体においてはマニピュレーターによる人間の手としての代替機能を持つ。そのため、潜水士の人材不足解消や安全性の確保が難しい場所での作業性向上やコスト削減などに貢献が期待されている。水中構造物の現場確認やインフラ設備点検、学術調査など活用される領域は広い。

 また、水中ドローンの利用は土木建築事業者や点検事業者、水産事業者が中心となっており、潜水士の作業の代替、または作業を補助するツールとして注目を集めている。特に国内の河川や港湾施設は老朽化が進んでおり、点検作業を効率的に行えるツールのひとつとして水中ドローンが期待される。

市場規模

 『水中ドローンビジネス調査報告書2022』(インプレス総合研究所)によると2022年度の日本国内の産業用水中ドローンの市場規模(機体等の販売金額)は前年度比25%増の29億円に拡大し、2025年度には62億円(2021年度の2.7倍)に達すると見込まれている。