写真:飛行する「DJI Lito 1」

 DJIから新たなコンシューマ向け空撮ドローン「DJI Lito X1」「DJI Lito 1」が登場した。2026年春に公開されたティザーでは軽量機であることが示唆されていたが、実際に発表されたのは、250g未満の軽量ボディを採用した初心者向けモデルだった。

 DJIは2025年秋にも「DJI Mini 5 Pro」や「DJI Neo 2」といったエントリー向け機種を投入している。そうしたラインアップの中で、なぜ新たにLitoシリーズを投入したのか。その立ち位置を考えながら実機レビューを行った。なお、本稿では特記しない限り、「Lito」はLito X1とLito 1の両モデルを指すものとする。

 まずは基本スペックから見ていこう。

写真:飛行する「DJI Lito X1」
Lito X1。最大飛行時間は通常のインテリジェントフライトバッテリー使用時で36分、Plusを使用すると52分。Lito 1でも同様だ。価格はDJI Lito 1が4万7520円、DJI Lito X1は5万4450円。


 両機とも標準離陸重量は約249g。諸外国ではホビー用途として扱われることが多い重量帯だが、日本国内では航空法の適用対象となるため、屋外で飛行させる場合は機体登録やリモートIDの設定が必要となる。また、容量の大きい「インテリジェント フライトバッテリー Plus」を装着した場合は249gを超えるため、海外での運用を検討している場合は現地の制度も含めて確認しておきたい。

写真:2機並べて上から見た様子
Lito X1(右)とLito 1の大きさを比較。展開時(プロペラなし)の寸法はいずれも183×251×79mmであり、並べてみても差がないことがわかる。
写真:充電ハブ
Lito X1用の充電ハブ。一度に3個の充電に対応。ボタンを押すとインジケーターが光り、残量がわかる。

 Lito X1とLito 1の大きな違いの一つが障害物検知性能だ。両機とも全方向を検知するビジョンシステムを搭載しており、安全な飛行をサポートする。一方、Lito X1はこれに加え、DJIの上位空撮機ではおなじみとなった前方LiDARを搭載。障害物認識性能をさらに高めている。ドローン操縦を始めたばかりのユーザーにとって、こうしたセンサーによる飛行支援は大きな安心材料になるだろう。

写真:機体前方の全方位障害物検知用センサー
機体正面上部には前方LiDARを設置する。
写真:機体上部の全方位障害物検知用センサー
機体上部には全方位障害物検知用のセンサーがある。

 次に、カメラ性能にも両機の違いが見られる。Lito 1は1/2インチCMOSセンサーを搭載するのに対し、Lito X1は約1.5倍大きい1/1.3インチCMOSセンサーを採用。有効画素数はいずれも4800万画素だが、センサーサイズが大きいLito X1のほうが、より高い描写性能と大判サイズの静止画撮影が期待できる。

写真:「Lito X1」のカメラ部分
Lito X1のカメラは1/1.3インチCOMSセンサーを搭載。焦点距離は35mm換算で24mmとなる。一方、Lito 1のカメラは1/2インチCMOS。35mm換算の焦点距離は26.2mm。

 動画性能にも差があり、フルHD撮影時にはLito X1のみ最大200fpsのスローモーション撮影に対応する。また、視野角(FOV)もLito X1が82.1°と、Lito 1より約3°広く設定されている。

 もっとも、両機とも4K/100fps動画撮影に対応しており、一般的な空撮用途では大きな差を感じる場面は少ないだろう。YouTubeやSNS向けのフルHD撮影はもちろん、縦位置動画も2.7Kで撮影できるため、基本的な映像制作性能は十分高いレベルにある。

 このほかに、対応する送信機も両機の違いとして挙げられる。Lito X1はディスプレイ一体型の「DJI RC 2」と、スマートフォンを装着して使用する「DJI RC-N3」の両方に対応している。一方、Lito 1で利用できるのはRC-N3のみだ。700nitの高輝度ディスプレイを備えたRC 2で快適に飛行したい場合は、Lito X1を選ぶことになるだろう。

 また、Lito X1は42GBの内蔵ストレージを備えているが、Lito 1には搭載されていない。そのためLito 1ではmicroSDカードが必要となる。

写真:RC 2送信機
RC 2送信機。アンテナが取り付けられており、最大15kmにわたり伝送する能力があるという。
写真:RC-N3送信機
RC-N3送信機。そのままでも使用でき、DJI Flyアプリをインストールしたスマートフォンと接続すればディスプレイにもなる。

体育館で実機テスト、軽快な飛行性能を確認

 実際に屋内環境でLitoのテストフライトを行った。

 まず、バッテリーを装着した状態でアームを展開すると、自動で電源が入る仕組みになっている。飛行時に印象的だったのは上昇時の軽快さだ。スティック操作に対する反応は素直で、スムーズに高度を上げていく。前後左右への移動や旋回飛行、上昇・下降を繰り返してみたが、250g未満の軽量機らしい俊敏な動きを見せた。RC 2とRC-N3による操作感の違いはほとんど感じられない。屋内環境ながら自己位置推定も安定しており、ホバリング中に大きく流されるような挙動は見られなかった。初心者にとっては、まず機体が安定して飛ぶことが重要だ。機体制御に気を取られず、カメラ操作や構図づくりに集中できるという意味でも、Litoの安定性は高く評価できる。

 次に障害物検知機能も確認した。

 Litoを正面および側面から壁へ接近させると、約80cm手前で機体が停止。さらに天井へ近づけた際には、およそ50cm手前で上昇を停止した。全方向障害物検知システムの精度は高く、初心者でも安心して飛行できそうだ。また、障害物検知センサーが捉えた周囲の映像を表示する「ビジョンアシスト」機能も搭載している。周囲の状況を確認しながら飛行できるため、安全性向上に役立つだろう。

 Litoには、被写体を自動追尾する「アクティブトラック」も搭載されている。これは、一度被写体をロックすると継続的に追尾を続け、フレーム内に捉え続けてくれる撮影支援機能だ。エントリーモデルでありながらも、近年のDJI機らしく追尾精度は高く、操縦に集中しながらダイナミックな映像撮影を行える印象だった。

「空撮を気軽に楽しむ」ための新たな入り口

 実際にLitoを試してみると、DJIの他機種と同様、クセのない扱いやすい機体という印象を受けた。DJIには初心者向けの機体がすでに複数機用意されているが、Litoシリーズは「本格的な空撮よりも、まずは気軽にドローンを飛ばしてみたい」というユーザー向けのモデルとして位置付けられているように感じる。

 ドローンを楽しむ目的は人それぞれだ。例えばDJI AvataシリーズやDJI Neoシリーズは、ゴーグル型ディスプレイ「DJI Goggles 3」と腕の動きに合わせて操縦できるモーションコントローラー「DJI RC Motion 3」を組み合わせることで、まるで自分が空を飛んでいるような高い没入感とスピード感を味わえる。

 一方で、2スティック式の送信機を使いながら、空からの景色をゆったりと楽しみたいのであれば、Litoはちょうど良い選択肢になるだろう。カメラ性能も必要十分で、SNS投稿や旅行の記録、日常的な空撮においては軽量・コンパクトな設計で最適といえる。

 同じ250gクラスでも、Mini 5 ProやMini 4 Proは飛行性能や撮影性能が高く、本格的な空撮を楽しむユーザー向けの機体だ。その分、初心者には少し敷居が高く感じられるかもしれない。その点、Litoシリーズは価格もDJI Lito 1が4万7520円、DJI Lito X1は5万4450円と抑えられており、「まずはドローンを始めてみたい」というユーザーにとって手に取りやすい存在となっている。Lito X1とLito 1の性能差はあるものの、基本的な飛行性能や撮影性能に大きな開きはない。予算や送信機の好みに応じて選べばよいだろう。

写真:並んだ3機を側面から見た様子
参考に、2022年発売のMini 3 Pro(左)を置き、機体側面を比較。近年ではMiniシリーズも機体の大型化が進んでいるが、Mini 3 Proは比較的コンパクトで、その系譜をLitoが引き継いでいる。近年のDJIの機体は前部アームにスキッド(脚部)があることも特徴だ。