「操縦モード」とは、送信機(プロポ)の2本のスティックに “上昇/下降(スロットル)・左右回頭(ラダー)・前後移動(エレベーター)・左右移動(エルロン)”の4軸をどのように割り当てるか を定義したものです。
代表的なのが「モード1」と「モード2」で、歴史的にはラジコン飛行機文化が強かった日本でモード1が広く普及し、DJIをはじめ多くのドローンが世界標準として採用したのがモード2です。
モード2は左スティックが上昇/下降(スロットル)・左右回頭(ラダー)、右スティックが前後移動(エレベーター)・左右移動(エルロン) となっています。右スティックで前後左右の水平移動ができ、左スティックが高度変化と向きの変化を操るため直感的に覚えたり操作したりしやすいモードとなっています。
モード1は右スティックが上昇/下降(スロットル)・左右移動(エルロン)、左スティックが前後移動(エレベーター)・左右回頭(ラダー) となっています。前出のとおり、日本国内では国産送信機メーカーがモード1を標準として販売していたため、古くからラジコン飛行機やヘリコプターを楽しむ層ではモード1が主流でしたが、 近年ではモード2が主流になりつつあります。
そのほかには、モード2の左右割り当てを入れ替えた「モード3」や、モード1の左右割り当てを入れ替えた「モード4」も存在しますが、利用者は少数派です。
世界的な傾向としては 北米・欧州・中国を中心にモード2が圧倒的多数 となっています。日本は歴史的にモード1が根強かったものの、近年はドローンスクールや国家資格対策の実地訓練もモード2が主流になりつつあります。特に国家資格の「二等無人航空機操縦士資格」の飛行試験では、飛行高度の変化を求められない(高度3.5mまたは1.5mで固定)ほか、試験コースの「8の字飛行」コースにおいては、モード2で飛行すれば前進とラダーを左右のスティックで分けることができるため微調整がやりやすいと感じる受講生が多いようです(モード1では左スティックの斜め前方にいれる(前進+ラダー)ため、適切な位置に入力したり微調整したりするのにかなり繊細なスティック位置の調整が必要)。
とはいえ、「8の字飛行」コースでも速度が速い飛行では遠心力で機体が円周の外側にドリフトしてしまうため内側にエルロンを入れて寄せなくてはならないのですが、モード2では前進とエルロンが同じ右スティックなのでスティックを斜め前方の適切な位置に入れなくてはならず速度に影響を与えるリスクがあります。一方、モード1では「前進+ラダー」とエルロンが左右のスティックに分かれるため、機体が遠心力で外側にドリフトした際には「前進+ラダー」とは分離した右スティックのエルロンを円周の内側に入れればもとの飛行経路に簡単に戻すことができます。
このように、飛ばし方によってモードによる飛行難易度は変わってくるため、モードの選択による絶対的な正解はありません。ちなみに、筆者はラジコン飛行機やヘリコプターをやっていませんでしたがモード1です。上昇下降とラダーを組み合わせた“ひねり”の空撮ワークを好んでいるため、スロットルとラダーが左右に分かれたモード1に自然と落ち着きました。モードの選択は、自分の飛行スタイルに合った、自分が飛ばしやすいモードを選ぶことが大切です。
田口 厚
株式会社ORSO Dron é motion(ドローンエモーション)事業部長。主な業務として観光PR空撮動画制作やドローンを活用した観光企画、国家資格講習や企業研修などの講習の企画や実施、ミニドローン「DRONE STAR」シリーズを活用したドローンプログラミングワークショップなど。無人航空機操縦者技能証明登録講習機関講師及び修了審査員、一等無人航空機操縦士、JUIDA特別講師、令和7年度『無人航空機シミュレーター教育規格作成委員会』委員 等。
