手動操縦
・送信機によるドローンの操縦
最も 一般的な操縦方法は、送信機(プロポ)を使った操縦 です。機体と送信機をWi-FiやLTEなどの通信で繋ぎ、操縦及び映像伝送を行います。
操縦は左右2本のスティックで「上昇・下降」「前後左右への移動」「旋回」などを行い、カメラの角度や撮影の設定は別のボタンやダイヤルで行います。ドローンには、GNSS(GPS等の測位センサー)や高度センサーが搭載されているため、 手を離してもその場でホバリングでき、初心者でも比較的安定した操作が可能 です。左右スティックの動きの割り当て(操縦モード)には主に「モード1」「モード2」があります。
機種によっては機体とカメラを別々の送信機で操縦する「デュアルオペレーション」が可能。安全な飛行に考慮し、パイロットが機体の操縦に集中したい場合などに用いられます。
・スマホやタブレットを使った操縦
一部の小型ドローンやトイドローンでは、スティックによる送信機が付属していない代わりに、スマートフォンやタブレットをコントローラーとして代用する機種もあります。専用アプリの画面に表示されるバーチャルスティックを指で操作したり、ジャイロセンサーを利用して端末の傾きによってドローンを動かすことも可能です。 安価で子どもが手軽に遊べる反面、本格的な操縦には不向き です。
自動航行
・地上管制ステーションによる遠隔操縦
主に物流や測量、警備監視といった 広域でドローンを飛行させる場合は、自動航行 による操縦を行います。地上にPCやモニターを完備した地上管制ステーションを設け、ドローンと地上の通信によって、飛行に必要な情報を取得しながら運航管理を行います。
飛行ルートは事前に作成し、パイロットは離陸指示を発するだけでドローンは自動で目的地を目指し、着陸します。
その他の操縦
・モーションコントローラー
ゲーム感覚でドローンを操縦できる方法として、「モーションコントローラー」があります。これはスティック型のコントローラーを片手で握り、手の動きに合わせてドローンを操作する仕組みです。例えば、コントローラーを傾けるとその方向に飛行し、トリガーを引く(スロットル操作)と前進します。 直感的に扱えるため、従来のスティック操作に慣れていない人でも臨場感のある飛行を楽しめます 。特にFPV(First Person View)映像と組み合わせることで、まるで自分が空を飛んでいるような体験が可能になります。ただ、精密な操作をするのは難しいので、浮遊感を味わうような飛行方法に向いています。
・FPVでの操縦(アクロモード)
スピードやアクロバティックな動きが求められるFPVレース用のドローンは、送信機とドローンのカメラ映像を映し出すFPVゴーグルを組み合わせて操縦します。レース用のドローンは、一般的なドローンに搭載されているGNSSや姿勢や高度安定のための自動制御は搭載されておらず、 機体の姿勢制御もパイロットの操縦技術に依存 します。
例えば、空撮機では離陸後にスロットルのスティックを中央に戻せば機体も水平に戻り自動でホバリングしますが、FPVレースドローンではスティックを適切な位置に維持しないとホバリングせず、上昇し続けたり下降したりします。前進する際には、スロットルを適切に入れながらピッチを前に入れなければなりません(モード2であれば左右スティックを前に倒す)。
ただ、ドローンは機体を傾けることでその傾けた方向に推力を使うことができるため、大きく姿勢を傾けることができるFPVレースドローンは空撮機より速く、機敏な動きをすることができますし、瞬間的にピッチを下に強く入力しスロットルで推力調整すれば宙返りもできます。
FPVレースドローンの 操作は難易度が高いものの、自由度が非常に高く、宙返りや高速旋回といったダイナミックな飛行が可能 です。競技としてのFPVレースでは、この高度な操縦スキルが重要になります。
また、プラントの屋内施設や屋根裏、下水管といった狭所の点検に使用される 小型の産業用ドローンでもFPVによる操縦が用いられる ことがあります。特に人が立ち入れず、機体の見えない場所で飛行させる場合に使用される方法です。
このように「どのような目的でドローンを飛行させるか」によって、操縦方法は大きく変わります。安定した映像を撮りたいのか、遠隔でドローンを運航するのか、手軽に楽しみたいのか、それともスピード感あるレースをしたいのかによって、最適な操縦方法が採用されています。
田口 厚
株式会社ORSO Dron é motion(ドローンエモーション)事業部長。主な業務として観光PR空撮動画制作やドローンを活用した観光企画、国家資格講習や企業研修などの講習の企画や実施、ミニドローン「DRONE STAR」シリーズを活用したドローンプログラミングワークショップなど。無人航空機操縦者技能証明登録講習機関講師及び修了審査員、一等無人航空機操縦士、JUIDA特別講師、令和7年度『無人航空機シミュレーター教育規格作成委員会』委員 等。
