2026年2月18日、むつ小川原石油備蓄とKDDIスマートドローンは、むつ小川原国家石油備蓄基地内で、上空電波(4G LTE)対応のAIドローン「Skydio X10」を活用した自動巡視の実証を行い、海上と陸上をまたぐ広域エリアでの自動巡視に成功したと発表した。

 むつ小川原国家石油備蓄基地は、日本最大の敷地面積とタンク数を有する国家備蓄拠点である。基地から約3kmの沖合には原油の積出設備である一点係留ブイが設置されており、管理範囲は陸域から海上まで広がっている。これまでの巡視業務では、人による現地確認に加え作業車や作業船の移動が必要であり、人手不足と燃料費の高騰から、業務の効率化とコスト低減が課題となっていた。

 こうした背景から、両社は上空電波に対応したAIドローンを活用し、広域飛行による自動巡視の実現性と有効性を検証した。実証期間は2025年8月19日、20日。

写真:海に浮かぶ一点係留ブイ
一点係留ブイ
写真:原油タンク
貯蔵基地の原油タンク

実証内容

一点係留ブイの巡視検証
 作業船を出動させずに、遠隔から海上設備を点検できることを検証した。

  • 中継ポンプ場から約3km沖合の係留ブイまで、上空電波(4G LTE)を用いてドローンを飛行・撮影。
  • 海上通信環境下でも安定した飛行・映像伝送が可能であることを確認。

貯蔵基地の自動巡視検証
 巡視作業の自動化・省人化が可能であることを検証した。

  • 貯蔵基地内に複数のウェイポイントを設定し、高度60〜100mで自動飛行。
  • 目視外飛行における安全性とルート再現性を確認。

実証成果

長距離・海上での安定通信を実証

  • 基地から約3km沖合まで上空電波(4G LTE)で安定した通信・映像制御を維持。
  • 従来の船舶巡視と置き換えることで、燃料コストと人員工数の削減を確認した。

巡視業務の自動化による効率化

  • 貯蔵基地において、自動ルート飛行と映像取得を実現。
  • 高い操縦スキルを必要とせず、属人化を防ぎ、再現性の高い巡視体制を構築可能であることを確認した。

リアルタイム監視の実現

  • 飛行映像を遠隔でリアルタイム共有することで、現場に赴かず状況を把握し、異常時の迅速な判断・対応が可能であることを確認した。


 今後、今回の実証結果をもとに、海上飛行による一点係留ブイの日常点検を定常化し、移動用燃料の削減によるコスト効果を図る。また、運航管理システムを活用し、係留ブイ点検のような長距離かつ洋上での飛行をサポートすることで、高度な操縦技術が必要ない運用体制を整備し、属人性の低減を目指す。さらに、フォトグラメトリー(写真測量)を用いた地形変位測量により、防油堤の微細な変位を継続的に把握し、崩落兆候の早期検知と状態監視を可能とする取り組みを進めるとしている。

 両社はこれらの取り組みを通じて、AIドローンを活用した安全で効率的な基地管理モデルの確立と社会実装の加速を推進する。