ジャパン・インフラ・ウェイマーク(以下、JIW)は、2025年12月22日、自社開発した動力を持たない浮子型ボートを活用し、呉市管内において500mm、600mmの下水道管を調査した。

 呉市は「呉市上下水道ビジョン 2024~2033」に基づき、業務効率化や民間活力の導入、先端技術の活用による経営基盤の強化を進めている。今回の取り組みでは、下水道点検の効率化・高度化に向けて浮子型ボートの活用を実証する。

写真:マンホールを降りる作業員

 日本では全国的に下水道管路の老朽化が進んでおり、管路の破損による道路陥没などのリスクが増加している。大口径の管路ではマルチコプター型ドローンを用いた点検技術の導入が進む一方、小口径管路ではドローンが飛行できないためカメラ車を用いた点検が主流だ。この場合、作業員がマンホールに入る必要があり、流速が速い区間や水中に異物が混入している区間では点検できない場合もあった。

 実証実験では、呉市が管理するマンホール間の地下管路と橋梁添架管路内で、浮子型ボート「Waymark Boat」の航行および管路の撮影を行った。

機体イメージ図:JIWが開発した浮子型ボート「Waymark Boat」
項目仕様
サイズ長さ400×幅200×高さ190(mm)
対応管径400mm以上(これよりも細い場合は検証が必要)
対応流速秒速5m以下(これよりも速い場合は検証が必要)
最低水深5cm程度
搭載カメラ800万画素・4K動画撮影対応
特徴・動力が無く軽量のため浅い水深でも航行可能
・機体コントロール不要のため電波到達範囲外で調査可能

【作業手順】
①上流側のマンホールから作業者が回収用のひもを取り付けた機体を流し込み、ひもを少しずつ繰り出して管路内の撮影を実施。
②下流側のマンホールにて別の作業者が待機し、機体到着後に回収・ひもの取り外しを実施。
③上流側の作業者がひもを巻き取って回収。

【上流側マンホール】地上作業員が浮子型ボートのひもの繰り出し・巻き取りを行う、マンホール内の作業員が流し込みを行う、【下流側マンホール】マンホール内作業員と地上作業員が機体回収を行う
作業イメージ図

【実証結果】

  • 生活排水・工場排水により浮遊物・沈殿物が混ざる区間での浮子型ボートによる撮影手順の確立
  • 従来のカメラ車では水流が速く点検できなかった区間における管路内撮影に成功
  • 撮影した映像が点検に活用が見込めるレベルであることを確認
  • 40~50m程度の区間での撮影時間は10分程度で完了(前後の準備時間等は除く)

 今後、撮影した映像におけるマンホールからの距離の確認方法の確立や、マンホール内へ作業員が入らずに撮影する手法の検証を進め、安全で効率的な下水道点検を目指す。

写真:管路内の様子
撮影した管路内の映像
写真:複数の作業員がノートパソコンを確認する様子
現地で映像を確認する様子