2026年10月15日、そらいいなは、豊田通商を事業主体とする北海道上砂川町での実証事業において、ドローンとAIを活用したヒグマ対策実証を実施したと発表した。

 この取り組みは、内閣府委託の「令和8年度(2026年度)スーパーシティ、デジタル田園健康特区、連携”絆”特区等における先端的サービスの開発・構築及び規制・制度改革に関する調査・実証事業」に基づき、10月5日から10月9日にかけて実施した。

 北海道内では、ヒグマが生活圏に出没する事例が発生しており、住民の安全確保が課題となっている。ヒグマは数日間にわたり周辺を移動・滞留する傾向があり、出没後はしばらく見回りが必要となるが、広範囲にわたり目視巡回を行う自治体職員の工数負担や遭遇リスクへの対策が求められている。

 こうした課題に対し、実証では自治体が構築・運用できるヒグマ対策モデルを官民連携で構築することを目標に、目撃通報があった際、即時に安全確認を実施でき、出没リスクが高い時期・エリアにおいて出没前から継続的に警戒・巡視を行える体制をドローンにより構築する。

目指す姿:自治体が運用できる「予防巡視」と「出没時の即応対応」の仕組みを構築

 実証では、光学カメラとサーマルセンサーを組み込んだアミューズワンセルフ製「GLOW.L rev2」によりデータを取得し、リアルタイム伝送したデータをAIを含むソフトウェア処理を行うことで、自動判定等による効率化の評価を実施した。飛行経路は、過去のヒグマ出没箇所を中心に設計した。

アミューズワンセルフ製「GLOW.L rev2」、機体諸元
モデル名GLOW.L rev2
メーカーアミューズワンセルフ
動力方式バッテリー
飛行時間最大60分程度
機体サイズ幅930mm×奥行930mm×高さ450mm
機体重量7.2kg(バッテリー搭載無し)
センサーカメラ、サーマルカメラ等搭載可能
通信2.4GHz、LTE等
飛行ルート1、2

 10月5日から10月9日にかけて、目撃情報の多い早朝・夕方を中心にレベル3.5による巡視飛行を実施。10月6日の巡視飛行でヒグマを確認した際には、自治体との事前取り決めに基づき、捜索・救助等のための特例(航空法第132条の92)を適用。発見現場を重点的に監視するための経路を新たに作成し、安全措置を講じた上で飛行許可を待たずドローン飛行が可能となる特例飛行を実施した。

【飛行実績(合計)】

飛行回数24回
飛行時間11時間03分
飛行距離95km
写真:サーマルカメラで撮影したクマ
サーマルカメラ×AI検知によるクマ発見の様子
写真:可視光カメラで撮影したクマ
可視光カメラによる確認映像

 今回の実証により、サーマルセンサーを活用することで目視では視認が難しい環境においてヒグマなどの鳥獣類を発見し、ドローンによる巡視の代替効果、効率化効果を確認できた。また、遠隔地から安全を確保した状態での巡視と同等の効果を確認した。

 今後はデータの解析等を通じ、AIによる自動検知の精度向上と、自治体が持続的に運用できるよう体制の現地化に向けた協議を行う。また、緊急時の特例飛行をはじめとする運航マニュアルの整備に共同で取り組む方針だ。

【各社役割】

豊田通商事業実施主体、社会実装推進、プロジェクトマネジメント、リスクアセスメント実施、ヒグマ検知システム検討
そらいいなプロジェクト実行支援、リスクアセスメント実施
アミューズワンセルフ機体提供、ドローンオペレーション、ヒグマ検知システム検討、飛行申請
タスデザイングループヒグマ検知システム検討