2026年8月26日、大成建設、成和リニューアルワークス、JP Droneは、360°カメラ搭載ドローンと3Dモデル化技術を組み合わせた管路点検手法「T-pipe vision 360」を開発し、KHネオケム四日市工場の排水管路調査に適用したと発表した。
この手法では、管路内部へ作業員が立ち入ることなく最大100mを連続撮影し、地上部と地下部を統合した高精細な一体型3Dモデルを構築する。異常箇所の位置や形状を地上位置と関連付けて把握でき、補修・更新計画立案の高度化や維持管理業務の効率化に寄与する。
地下インフラの老朽化が進む中、損傷や道路陥没などが社会課題となっている。工場敷地内の埋設管路についても、計画的な維持管理の重要性が高まっている。一方、従来の管路調査では狭隘、暗所、酸素欠乏などの危険がある環境に作業員が立ち入る場合もあり、十分な安全対策が求められている。
T-pipe vision 360は、作業員が管路に立ち入ることなく360°カメラを搭載した飛行型および舟艇型ドローンで管内映像を取得し、SfM(※1)技術により3Dモデル化する。この技術を実際の排水管路調査に適用し、有効性を確認した。
※1 SfM:多数の写真から共通点を抽出し、対象物や場所の形状・大きさ・位置関係を立体的に再現する技術。
【T-pipe vision 360の特長】
作業員が危険な閉鎖空間に立ち入ることなく調査区間の連続映像を取得可能。管径、水位、管内の飛行空間などの条件に応じて飛行型と舟艇型ドローンを使い分けることで、多様な管路条件に対応する。
360°カメラを用いることで、機体の前方だけでなく側面や上部を含む管内全周の可視範囲を一度に記録。マンホール直下の立坑部も撮影・3Dモデル化するため、管内モデルと地上部モデルを共通の基準点で対応付けることができる。
舟艇型ドローンで取得した360°映像を用いて、管内を3Dモデル化。映像による目視確認に加え、管内の形状や寸法を高精細な3Dモデル上で可視化し立体的に把握できる。
地上部の3Dモデルと管内3Dモデルを統合し、管路の平面位置や地表面からの深さを地上部の直上位置と関連付けて把握。施工方法や工事車両配置、交通規制などの検討を効率化する。
【調査概要】
| 調査場所 | KHネオケム四日市工場排水管路 |
| 調査方法 | 1. 管径1,350mm、延長約100mの管路:飛行型ドローン 2. 管径1,500mm、延長11.3mの管路:飛行型ドローン、舟艇型ドローン ※作業員の管内立ち入りなし |
| 調査概要 | ドローン操縦者1人、補助員2人の計3人で実施。例えば、11.3m区間での往復実移動時間は飛行型ドローンが約90秒、舟艇型ドローンが約2分30秒。 |
| 調査・実施項目 | 1. 全区間の連続映像を取得 2. 管内映像取得から管内3Dモデル作成および地上部3Dモデルとの統合 |
【主な調査結果】
舟艇型ドローンで取得した360°映像を用いて、管径1,500mm、延長11.3mの管路内部を3Dモデル化。3Dモデル上での管径の計測値は約1,507mmとなり、設計値との差は約7mmであった。これにより維持管理にも適用可能であることを確認した。
今後は、CIM(※2)技術との連携を進め、点検・維持管理情報を統合したデジタル管理基盤の構築を目指すとともに、下水道など点検困難なインフラ施設への適用拡大を進める方針だ。
※2 CIM:土木インフラ工事の計画・設計・施工・維持管理の各段階で3次元モデルと属性情報を活用し、業務効率化や生産性向上を実現する技術。
