ブルーイノベーションは、自治体向けに開発した「BEPポート|防災システム」の本格提供を、2025年5月20日より開始した。同日、千葉県一宮町において同システムを活用した津波避難広報システムの完成記念式典が開催された。津波対策としては、2022年に導入された宮城県仙台市に続く2例目の社会実装となる。
このシステムは、Jアラート(全国瞬時警報システム)と連動し、災害発生時の避難広報および現場の状況把握を自動化することで、迅速かつ的確な初動対応を可能にする。ブルーイノベーションは今後、人に依存しない無人防災の実現を目指し、全国自治体への展開を進めるとしている。
地震や津波、豪雨、森林火災など、頻発する自然災害が懸念される中、自治体には迅速な避難広報と被災状況の可視化が求められている。一方で現場の人手不足や安全確保が課題となっており、迅速な初動対応が困難なケースも少なくない。
ブルーイノベーションは、自治体が抱える防災対応の課題に対し、「避難広報」と「状況把握」を自動化する次世代型防災ソリューションとして、BEPポート|防災システムを開発した。
「BEPポート|防災システム」の特長
BEPポート|防災システムは、ブルーイノベーションが開発したドローンポート情報管理システム「VIS(Vertiport Information System)」を基盤としており、Jアラートと連携することで災害発生時にドローンが自動で発進。広域への避難広報とリアルタイム状況把握を実現し、自治体の防災力向上に貢献する。
- Jアラートと連動した自動避難広報
Jアラートを受信すると、ドローンポートからドローンが自動発進。上空からスピーカーで避難を呼びかけ、人手を介さず迅速な避難指示を行う。 - 被災状況のリアルタイム把握
あらかじめ設定した飛行ルートを自動飛行しながらドローンが被災地の映像を取得。複数機の同時運航で広域をカバーし、映像はBEPポートサーバー(国内クラウド)へ自動保存。現場の状況を安全・確実に把握・共有する。 - 職員の負担軽減と安全確保
遠隔からの状況確認により、職員の現地出動を最小限に抑える。専用アプリによる簡単操作で自動運航できるため、ドローンの操縦スキルに依存せず、安全な初動対応が可能。
津波に限らず、地震や洪水、火山災害、森林火災など、多様な災害への対応を想定した汎用性の高いソリューションであり、今後、全国の自治体や公共団体への導入を積極的に推進し、特に人手不足や高齢化が進行する地域において、人に依存しない「無人防災インフラ」の構築と社会実装を目指す方針だ。
全国有数のサーフスポットとして知られる千葉県一宮町は、年間約60万人のサーファーや観光客が訪れ、海岸エリアには常に多くの人が集まる。約7.5kmの広域な海岸線を有する同町は、津波などの災害発生時における避難指示の迅速かつ確実な伝達が大きな課題となっていた。
同町はブルーイノベーションが開発支援を行った宮城県仙台市での津波避難広報ドローン事業の事例に着目し、BEPポート|防災システムの導入を決定、2025年4月から稼働を開始した。津波注意報以上が発令された際には、一宮町役場と東浪見小学校の屋上に設置したドローンポートからドローンが自動で発進し、上空からの避難広報と現場映像の取得を同時に実施する。
2022年10月に運用を開始した宮城県仙台市 津波避難広報ドローン事業では、震災の教訓を踏まえ、既存の広報手段の補完・多重化として同システムを導入。プライベートLTEを活用し、Jアラートと連動したドローンによる避難広報と状況撮影の全自動化を実現した。2024年1月には石川県輪島市において能登半島地震に伴う土砂ダムの自動監視を実施。二次災害に備え、地震の影響で河川にできた土砂ダムの状況を継続的に監視した。
▼「BEPポート|防災システム」特設サイト
https://www.blue-i.co.jp/bepport_bousai/
