2023年2月15日、トルビズオンとグリーンサービス、ユタカコーポレーションは、2023年2月9日に愛知県新城市において医薬品配送の実証実験を実施し、成功したことを発表した。

 新城市乗本地区は川を隔てて地域が分かれており、自動車による配送では遠回りになることが課題となっている。グリーンサービスとユタカコーポレーションは、新城市と豊川市を交えた東三河ドローン・リバー構想推進協議会の支援を受け、河川上空をドローンの空路として活かした物流の可能性を検討し、実証実験を実施した。
 ドローンと自動車を組み合わせて配送を行うことで物流配送網の可能性を広げることを目的に、CO2排出量削減を目指すとともにドローン配送の社会受容性を検証する。

 荷物配送では現在、大半においてガソリン自動車が利用されている。これをバッテリーで飛行するドローンに置き換えることでCO2を削減することができる。また、ドローン活用により配送が効率化されることで、トータルで使用されるエネルギー量の抑制が期待される。

実証実験 概要

 新城市のクリニック医師と新城市大野地区の患者とのオンライン診療を行い、医師が処方した医薬品をグリーンサービスが自動車で乗本地区のドローン離着陸場まで搬送。その後、医薬品をドローンの医薬品専用ボックスに格納し、宇連川上空を経路に大野地区の患者の駐車場までドローンで空輸した。

 河川上空でのドローン物流実装を促進することで、地域課題の解決や地域活性化が期待される。国土交通省は河川空間を活用したドローン物流の実証実験を推奨しており、さらなる活性化のためのルールづくりや支援策が必要とされている。

 また、国が求める要件を満たすため安全管理の管制室機能のプロトタイプを考案し、実験を行った。ドローンからの空撮映像やテレメトリーデータによる「空の道の安全確認」と配送先の「空の駅の安全確認」を同時に遠隔監視するシステムおよびネットワークを構築し、そのデモンストレーションを各町の管制拠点(乗本公民館)から実況中継を行い、地域住民も参加した。

 国のドローンによる医薬品配送のガイドラインに準拠し、医薬品配送に必要な温度管理を厳密に実施。スマートフォンでのロックおよび解錠が可能な箱を使用してセキュリティ対策を施し、受け取りに誤りがないようにした。

 今回実施したドローンと自動車をかけ合わせた配送により、CO2の排出削減だけでなく、物流業における人材不足の解消にもつながることが期待される。また、乗本地区の住民向け説明会でもドローンが飛行することへの理解を得ることができた。

 今回は河川の上空のみを飛行するルートであったが、今後はより長距離の飛行や第三者上空(レベル4)飛行の実現に向けて検証を重ねるとしている。