フランスの機体開発メーカーであるParrotは、プロフェッショナル向けの機能を搭載した最新機種「ANAFI Ai」を発表した。

 ANAFI Aiはドローンと送信機の通信に4G回線を使用。これにより、ユーザーは通信を制限されることなく、長距離での正確な操縦が可能になる。新たに搭載したビヨンド・ヴィジュアル・ライン・オブ・サイト(Beyond Visual Line of Sight)フライトでは、障害物の裏であっても接続を維持する。

 ANAFI Aiは、ドローンとSkycontroller 4(送信機)にセキュアエレメントを初搭載した。ドローンとユーザーの携帯電話における4G回線通信は暗号化されている。セキュアエレメントの導入で、ソフトウェアの整合性と転送データのプライバシーを保護することが可能になった。

 Parrotはプロユースに向けた、さまざまな専門アプリケーションやサービスを提供。ドローンメーカーとして、初めて操縦用アプリケーションをオープンソース化している。これに加え、開発者向けにソフトウェア開発キット(SDK)を提供し、飛行中にカスタムコードを実行できるようにした。このSDKは障害物センサーを含むすべてのフライトセンサーやオキュパンシーグリッド、インターネットへのアクセスが可能だ。なお、独自開発の障害物回避(OA)システムは、ステレオカメラを使ってあらゆる方向の障害物を検知し、自律的に回避を行う。

 ANAFI Aiは、48MPのメインカメラを内蔵し、スタビライザー付きの4K 60fps / HDR10カメラを搭載。これにより、きめ細かな空撮画像と滑らかなビデオ映像を撮影する。

 10年前に民生用ドローンの先駆者であったParrotは、業務用ドローンの新しい基準を作ろうとしている。それは、高度な人工知能、自律飛行、クラス最高のイメージング、フォトグラメトリーの精度、信頼性の高い4G回線の接続といったもので、これまでにない強力な新しいツールとして業務利用向けに提供していく。

 ANAFI Aiは正規代理店および主要な販売パートナーのネットワークを通じて、2021年後半に発売を予定している。

4G回線コネクティビティ

 4G回線はドローンの利活用を大きく変える。ドローンと送信機の通信は、あらゆる状況下でも途切れることが無く、信頼性が高い。すでに世界中の広いエリアで導入されている4G回線は、700MHz~900MHzの低周波帯で長距離伝送を実現する。また、多くの4G回線を取り扱う通信事業者は、消防署や警察署などの行政向けに高い品質でサービスを提供している。

 Parrotでは、あらゆる4G回線の状況に適した強力なストリーミングソフトウェアの開発に尽力してきた。ソフトウェアはネットワークの品質に合わせて解像度やフレームレートを素早く最適化。また、パケットロスやフレームロスにも強いソフトウェアとなった。

 ANAFI Aiは契約を必要とせず、ユーザーはデータ送信が可能なSIMカードを利用する。Parrotはすべてのスマートフォンで動作する安全なインフラを提供する。

48MP、6倍デジタルズームの高性能カメラ

 ANAFI Aiのクワッドベイヤー配列を採用したイメージセンサーは、HDR10モードで14EVのダイナミックレンジを実現。ハイライトとシャドウの両方のディテールをしっかりと捉える。6倍のデジタルズームを使えば、75m離れた場所でも1cmの細かさで映すことができる。

 ジンバルのチルト範囲は-90°~+90°の制御が可能。橋梁下などのアクセスしにくい場所の点検にも対応している。また、6軸(機械式3軸、電子式3軸)のハイブリッド手ブレ補正機能により、最大12.7m/sの横風の中でも鮮明な写真が撮影できる。そして、P-Logフォーマットにより、多くの情報をRAWファイルに残すことができるようになった。

自律型フォトグラメトリー

 ANAFI Aiのバイオミメティック・フォームファクターは、頭部には回転する全方位カメラが搭載されており、あらゆる飛行方向で障害物回避が可能となる。障害物を検知すると、ANAFI Aiは自動的に最適なルートを生成し、飛行を開始する。

 搭載する人工知能は、写真測量に特化したフライトプランを自動生成し、生産性向上につながる時間短縮を図る。操縦者はワンクリックで選択した建物の地籍に基づいて最適化されたミッションを生成することができます。

 ANAFI Aiの48MPセンサーは、測量用に2Dおよび3Dモデルを生成する。1インチの20MPセンサーを搭載したドローンと同じ精度で生成し、さらに1.5倍の高度から撮影できる。高度30mで0.46cm/pxのGSDを取得し、写真は1fpsで撮影でき、これは市場の他のドローンよりも2倍の効率化となる。

 ANAFI Aiイメージは、すべてのフォトグラメトリー・ソフトウェア・スイートと互換性を持つ。フォトグラメトリー・ソフトウェアのマーケットリーダーであるPIX4Dとの統合を実現した。飛行中、ANAFI AiはPIX4Dcloudに直接画像を送信。そして、ドローンが着陸すると自動で計算を開始する。

独自のロボットプラットフォーム

 2010年にParrot A.R. Droneを発表して以来、オープンソースはParrotのプラットフォームの中核となっている。Parrotは継続的にオープンソース・コミュニティに貢献していく。ANAFI Aiの発売に伴い、地上制御局アプリケーションFreeFlightの第7版をオープンソース化することで、ソフトウェア開発キット(SDK)の拡張を実現した。

 Air SDKは、ANAFI Ai上で直接コードを実行するための画期的な技術アーキテクチャを提供。開発者はすべての各種センサー、接続インターフェース、オートパイロット機能にアクセスしてカスタムデザインの自律飛行ミッションをプログラムすることが可能になる。

・Ground SDK
開発者はPattot製ドローン用のiOSおよびAndroidのモバイルアプリケーションを作成することができる。ドローンのすべての機能(コントロール、ビデオ、設定)にアクセス可能。

・OpenFlight
FreeFlight 7アプリケーションのオープンソースコア。開発者は独自機能の追加に注力でき、アプリケーションストアで公開するプロユースのアプリをすぐに入手できる。

・Sphinx
開発者はUnreal Engineで動作するフォトリアリスティックな3Dシミュレーション環境で、正確な物理的インタラクションを用いて、アルゴリズムや飛行戦略のテストが可能。

 業界最先端のSDKは、公共安全、捜索・救助、防衛、検査分野の専門家向けにカスタマイズされたE2Eにおけるソリューションの実装を容易にする。プラットフォームは、業界標準(WIFI、RTP/RTSP、MAVLINK)に基づいて構築されており、相互運用性が非常に高い。

 企業向けドローンプラットフォーム、飛行ログサービス、公共安全プログラム、高度なミッションプランニング、メディア・データクラウドプラットフォーム、リアルタイムの地理空間状況認識、測量・地図作成(PIX4D)などに対応している。

デザインによるサイバーセキュリティ

 ANAFI Aiは、NIST FIPS140-2 Level 3に準拠し、Common Criteria EAL5+の認証を受けたWISeKey Secure Elementを内蔵している。セキュアエレメントは暗号処理を行い、機密情報の保存と保護、組み込みソフトウェアの保護に役立つ。

ドローンで撮影した写真に独自のデジタル署名

 ユーザーは自分のデータを完全に扱うことができる。ユーザーの明示的な同意なしに、デフォルトでデータが共有されることはない。ANAFI Aiは、欧州連合の一般データ保護規則(GDPR)に準拠しており、場合によってはさらに踏み込んだ内容となっている。例えば、ユーザーは1クリックですべてのデータを削除することができ、容易な保存内容の維持管理が可能だ。

 新しいSkycontroller 4は、煩わしいケーブルを使わず、iPad miniやすべてのタブレット端末に対応している。また、この送信機にはHDMI出力が搭載されており、ANAFI Aiからのビデオストリーミングが可能だ。ANAFI Aiは折り畳み可能で、1分で離陸でき、雨にも強い特長を持つ。