2020年7月2日、アイエイチプランニングは、ドローン太陽光パネル赤外線点検パッケージサービス「Smart UAV Maintenance -太陽光発電設備-」を発表した。

 同社は、設立当初からメガソーラーメンテナンスの効率化を目指した各種ドローンサービスを提供してきたが、メガソーラーの規模やモジュールの設置状況、保守体制などによって、ドローンメンテナンスを構想している顧客のニーズは様々であることを受け、本サービスの提供に至った。

パッケージ化の背景

 同社ではこれまで、全936MWの特別高圧設備(メガソーラー)でのドローン赤外線点検サービス実績が、規模の大小含め70件以上ある。また、2017年から、栃木県のO&M(オペレーション&メンテナンス)企業と、ドローンを活用した太陽光発電設備メンテナンス手法の共同開発に着手しており、結晶系パネルおよび薄膜系パネルそれぞれの不具合の出方を検証し実務にも活かしてきた。

 現状では、専門技術者不足や技術者の高年齢化などが問題となっており、広範囲におよぶ太陽光設備の定期点検義務があることなどからも、ドローンを使うメリットは大きいという。ただ、これまで、その都度規模に応じた点検見積りと現地調整を行ってきたが、ドローンを初めて見たという顧客も多く、ドローンメンテナンスのイメージが沸かない、どんなことができて費用はいくらなのかが分かりづらいという声もあったそうだ。

 「ドローンを活用したサービスをもっと活性化させたい。ドローンの有用性を広く知っていただき、お客様それぞれの保守体制に合わせたサービスを選択していただけるようパッケージ化することにより、より分かりやすくご提供したい」と、同社の森英昭社長は述べている。

パッケージサービス「Smart UAV Maintenance -太陽光発電設備-」

 メンテナンス目的だけでなく、施工時/竣工時のパネル点検にもドローンは有効である。パネル設置時の初期不良や工事途中の外的要因による割れや断線などを発見することにより、施工品質を向上させることができる。サービス1、2は、そのような需要にも対応が可能である。

 サービス3、4は、ドローンの飛行航路を作成し、定期的なドローンメンテナンスにかかる時間を短縮させる。高低差のある地形や樹木・高圧線など、周囲に障害物があるロケーションでの安全性も高められる。同社で設計したドローン自動航路を使い、自動航行によるパネル定期点検を開始しているメガソーラーでは、30MWの場合、ドローンオペレーター2名により2日間で作業を完了させている。

 また、自社でドローンメンテナンスを始めたい太陽光発電事業者向けに、サービス5を用意。ドローンの基本的な技術講習から、太陽光発電所のドローン自動航路設計など、太陽光発電設備点検に特化した教育や、機体の選定・提供までをサポートしている。

 広大な設備の状況把握には、可視カメラを活用する「見守りプラン」がある。ドローンの巡視用飛行航路を設計し機体購入から導入サポートまでを提供することで、顧客の巡視業務効率化を支援する。

太陽光発電設備におけるドローン利用とデータ活用

 太陽光発電設備における赤外線カメラを搭載したドローンによるパネル点検は、稼働後のメンテナンスだけでなく、施工時や竣工時のパネル初期不良や割れの発見にも活用できる。また、可視カメラを活用したサービスの需要も高い。

 広い敷地の構内巡視の手段として、ドローンを用いるサービスもそのひとつである(見守りプラン)。事前に巡視用の自動航路を設計しておくことで、災害時のフェンス倒壊や土砂崩れなどの被害状況把握をスムーズに行うことができる。通常時では、雑草の繁茂状況などの確認に活用できる。

 今後は、AI技術を活用した可視画像解析など、人手不足を補うロボット技術の向上にも着目しているという。台風によりパネルが飛散したり損傷する被害も多く報告されているが、そういった際の損壊状況の把握が可能となる。

 また、竣工時から定期的に可視カメラで撮影した写真を使ってオルソデータを作成し、3Dで可視化することで、設備の状況をデータとして蓄積することができる。これにより、画像解析やメンテナンス全般においての活用が期待できる。

 メンテナンスだけでなく施工時にも活用できる。ドローンは、あらかじめ自動航路を設計し、定期的に同じ場所からの写真を撮影することが可能なため、進捗管理に役立てることもできる。O&M事業者だけでなく、EPC(設計・調達・建設)事業者にもドローン活用によるメリットがあるだろう。

 アイエイチプランニングは、太陽光発電設備の施工/竣工/メンテナンス様々なシーンにおいて、トータルでサポートできるドローンサービスをさらに分かりやすく提供していく、としている。