2019年12月10日、テラドローンは、地下鉱山の測量・点検サービスを提供するUnmanned Aerial Services Incorporated(カナダ・オンタリオ州、以下 UAS Inc.)と出資契約を締結し、新たに現地法人テラドローンマイニングを設立したことを発表した。同社は、地下鉱山に特化した測量・点検サービスを全世界に提供していく。

左からマット・マキンノン氏(UAS Inc. CEO)、関鉄平氏(テラドローンCOO)、スティーブ・マクネル氏(UAS Inc. ゼネラルマネージャー)

 今回テラドローンが出資したUAS Inc.は、カナダを拠点に地下鉱山に特化した測量・点検を行ってきた。これまでにBarrick Gold、Newmont Goldcorp、Vale、Glencoreなど、大手鉱山企業に対してサービスを提供している。今後は北米をはじめ、南米、中米、南アフリカ、中央アジア、ロシア、オーストラリアなど、坑内堀が盛んな地域で重点的にサービス提供をしていく。

 過去100年間以上、地下鉱山での落盤、出水、火災、爆発などの事故は世界中で深刻な問題となってきた。今年の米国における鉱山作業員の死亡事故は20件以上も起きており、依然として事故が多いのが現状である。(米国労働省HPより参照:https://www.msha.gov/data-reports/fatality-reports/search

3回のドローン飛行により取得された、複雑な坑道の3Dモデル(カナダ・マニトバ州)

 これらの被害を最小限に抑えるには、SLAM(自己位置推定をしながら地図作成を行う技術)を搭載したドローンでの測量が有効である。このようなドローンを地下の採掘現場で飛行させることにより、その現場内部の3Dモデルを取得することができ、従来では把握できなかった深部の詳細まで把握することができる。これにより、作業員が危険な場所に立ち入ることなく現場の測量ができるため、安全かつ効率的な採掘が実現する。

 今回の出資により、UAS Inc.が長期にわたり培ってきた地下鉱山の点検ノウハウと現地でのサービスネットワーク、そしてテラドローンが持つUAV最先端技術を組み合わせることで、より付加価値の高いサービスの提供につながると期待している、としている。

ドローンの飛行により作成された、地下の採掘現場の3Dモデル(コンゴ民主共和国)
クラッシャーステーション(左)など、鉱山設備も詳細に捉えることができる(カナダ・オンタリオ州)
ドローン飛行により作成された、ランプシステムの3Dモデル(モンタナ州・アメリカ)