2019年11月27日、ブルーイノベーションは、大阪市高速電気軌道株式会社(Osaka Metro)の協力のもと、11月15日深夜、地下鉄千日前線日本橋駅構内にて球体ドローン”ELIOS2”による二重天井内の土木構造物(コンクリート)に対する点検作業の実証実験を実施したことを発表した。

 今回の実証実験では、ブルーイノベーションが提供する、屋内狭小空間での点検作業に適した球体型ドローン”ELIOS2”(スイス Flyability社製)を使用した。独自のフライトコントローラーと多数の安定センサーを使用し、屋内、暗所、高所、鉄製品回り(コンパスエラーの出る場所)、人が入れない狭い場所、危険な環境(化学物質・灰等)、真上を撮影したい場所など、これまで人手では行えなかった施設の点検が一部可能となる。

 駅構内の二重天井内という、人が入り込んでの作業が危険で困難な場所での点検業務において、ドローンが取得した映像情報が十二分に点検業務に資することを検証出来た。日本橋駅での検証成果は以下の通り。

日本橋駅での検証内容と成果

 終電後の日本橋駅構内で、ELIOS2をホーム天井の点検口から二重天井内に投入し、長さ約30m、幅約10m、高さ約2mで、暗所かつ天井下地材や配線、ダクト等の支障物が多数存在している空間において、カメラの角度(チルト)を真上や斜め方向に変えながら、撮影対象の天井面の土木構造物(コンクリート)の状態を確認することが出来た。

 点検現場ではドローン操縦者(パイロット)の隣にモニターを設置し、リアルタイムに撮影映像の確認が出来、気になるポイントの詳細はすぐに確認する事が可能となった。LEDライトの照射範囲も細かく変更が可能で、撮影対象を鮮明に確認できることも実証した。但し、今回は想定以上に支障物が多く、予定していた撮影範囲を全面撮影することには至らず、更なる小型化等の成長の余地があることが分かった。

 ブルーイノベーションでは、今後もより効率的で安全な、ドローンによる点検ソリューション開発に取り組んでいく、としている。

日本橋駅構内の二重天井内に入って行く球体ドローン
内部を撮影した画像

ELIOS、ELIOS2を活用した、屋内狭小空間の点検ソリューション開発について

 ブルーイノベーションでは、屋内の点検分野において、下水管点検や地下トンネル点検用のドローンシステムを開発し実験を進め、最適なドローン機体を検討してきた。

 こうした背景の中、昨年、Flyability SA(以下、Flyability)と業務提携し、屋内狭小空間での飛行に適した性能を持つFlyabilityのELIOS、およびELIOS2を採用し、これまでにない屋内点検分野での新たなソリューション・サービスを展開してきた。Flyabilityは、点検分野に特化したドローン機体開発のベンチャー企業である。同社の機体は、屋内で懸案されるコンパスエラーがなく、パイプラインや狭小空間で安定した飛行が可能である。ブルーイノベーションでは、この機体を活用し、ボイラーやタンク、工場の高所等、狭小空間の点検においてユーザー層を広げてきたという。

▼ELIOS2 専用サイト https://www.blue-i.co.jp/bi-inspector-elios2/

ELIOS2の主な特長

・7箇所のセンサーにより、高い操縦性・安全性を実現

 点検員が危険な狭小空間に入る必要がなく、安全な点検が可能となる。7箇所のセンサーを用いて壁面の距離を一定に保つことができる他、ホバリング、複雑なスペースでの飛行が可能となった。また、ひっくり返ってもプロペラのスピード、回転方向を直ちに修正し元の姿勢に戻るため、操作に不慣れでも安全に飛行させることができる。

・4Kカメラ等の新機能により、撮影性能を大きく向上

 人が点検箇所まで登らなくても点検できるので、作業効率が向上する。新たに搭載した4Kカメラ、赤外線カメラ、産業用ドローンの中で最も強力で調光可能なLEDライト、防塵ライトにより、高い撮影性能を実現した。また、撮影時にガードが映り込まないよう、カメラ部分の前面は新たにオープンな構造とした。フルHDリアルタイム映像伝送により、現場の映像を詳細に確認できる。

・3Dモデリングにより、効果的なアウトプットを実現

 新たに搭載された、静止画(JPEG)撮影機能、歪曲した映像の平面補正機能、対象箇所の長さが計測できる2D測定機能、3Dモデリング作成機能により、計画から報告書作成まで一貫してサポート可能になる。

ELIOS2の機能・特長