2019年10月29日、陸上用配送ロボット「YAPE」が、ドイツのフランクフルト空港にてフラポート社(※1)と実証実験を行ったことを、YAPEの独占取扱権を有するDrone Future Aviationが発表した。

 今回の実証実験は、配送ロボット「YAPE」の空港での利便性・安全性・有用性・発展性を確認し、フラポート社におけるサービス品質向上に寄与するための第一歩として行われた。YAPEの空港での初の実験になる。

 実験では、YAPEを空港のトランジットエリアに5日間配備し、乗客のゲートまでのアテンドと手荷物の配送支援を行った。

※1 フラポート社は、ドイツに本拠を置く空港運営会社。フランクフルト空港以外にも、世界各地で合計25の空港を運営している。

 離発着・ターミナルユニットの責任者であるフラポート社のアレクサンダー氏は「弊社はイノベーションのリーダーとなるべく、乗客の旅行体験を向上させることを目的とした新しいデジタルテクノロジーの推進を常に努めています。今回の実験でYAPEを採用した目標は、空港でのサービスの質をさらに向上させるために、最新の人工知能とロボット工学のどういった利便性が活用できるか確認することでした。」と述べている。

 またe-NoviaのCEO、Vincenzo Russi氏は次のように述べている。「弊社は日本と米国での実証実験の後、大規模な流通システムを持つ大手物流会社と協力して、空港物流を担うべく事業を展開しております。YAPEはAIとロボット工学の専門知識を持つ世界最高のロボットの1つであり、e-Noviaはスマートモビリティを活用したラストワンマイル配送のための新しいソリューションをすでに開発しています。」

 第一フェーズでは、厳重に監視された状態でYAPEのテストを実施した。

 この最初のフェーズでは、スマートフォンのアプリを使用してロボットとコミュニケーションを行った。乗客は手荷物をロボットのボックスに置き、YAPEによって離陸ターミナルまで案内される。ナビゲーションシステムのおかげで、ロボットはターミナル内を自由に移動できる。次の段階では、YAPEが乗客と音声によってコミュニケーションを行う。

 YAPEは、時速約6kmの速度で最大30kgの荷物を運ぶことができ、3Dセンサーによって周囲の状況を感知し、障害物を回避することができる。しかしフランクフルト空港では毎年6,900万人以上の乗客が通過するため、混雑度が著しく高いターミナルでの回避行動は今後のYAPEの実運用にとって大きな課題となる。

 また、この実験ではフラポート社の空港オペレーターの経験を向上させると同時に、スタッフの作業負荷を軽減する新しい方法を模索することを目指している。

 YAPEは、2018年12月にe-Noviaと日本郵便によって実施された最初の実証実験で、屋内および屋外配送ロボットとして信頼できる能力をすでに証明しており、今後のテスト結果を検討し、YAPEのフランクフルト空港でのサービス展開を予定している。

「YAPE」とは

 「YAPE」は、イタリアのハイテクメーカーe-Noviaの子会社であるYapeによって開発された、最新AIを搭載した配送ロボット。すでに日本でも日本郵便や慶應義塾大などと共同で実験を複数回行なっており、Drone Future Aviation社が日本での独占取扱権を保有している。