2019年9月30日、センシンロボティクスとエアロネクストは、産業用ドローンの次世代コンセプト「空飛ぶロボット(Flying Robots)」の具現化に向け、顧客・用途開発に関する戦略的業務提携を行うことを発表した。

向かって左より、エアロネクスト代表取締役CEO 田路圭輔氏、センシンロボティクス代表取締役社長 北村卓也氏

業務提携内容

 センシンロボティクスとエアロネクストは、相互のノウハウ・技術を駆使し、産業用ドローンの次世代コンセプト「空飛ぶロボット(Flying Robots)」の具現化に向けた顧客・用途開発に関する戦略的業務提携を目的とする、業務提携契約を締結し、共同して企画・研究・開発・整備・設計・運用を行う。

提携の背景

 日本が抱える社会課題として、少子高齢化による労働人口の減少や高騰する人件費、危険区域での作業者の安全確保などが挙げられる。産業用ドローンは、これらの課題を抱える「物流」、「農業」、「警備」、「設備点検」、「災害対策」といった様々な分野での活用が期待されている。

 一方で、ドローンは写真や動画を撮るという、いわば「人間の目」としての用途のみに利用されており、短時間、短距離、また良好な気候条件の時という限定的な条件下での使用が現状である。

 現在の産業用ドローンが「空飛ぶカメラ」領域であるとすれば、次世代の産業用ドローンに求められるのは、その機能を活用して人間の代わりに複数の何らかの仕事を行う「空飛ぶロボット(Flying Robots)」であり、自動航行プラットフォーム『SENSYN FLIGHT CORE』と、重心制御技術『4D GRAVITY®︎』搭載の産業用ドローンを組み合わせることで、次世代コンセプト「空飛ぶロボット(Flying Robots)」を現実化できるという両社の考えが一致し、今回の提携に至った。

 センシンロボティクスは日本が抱える社会課題に対して、自動航行プラットフォーム『SENSYN FLIGHT CORE』を中心とした「ドローンの操縦や撮影された映像の確認作業を行うためのオペレータ(人力)の不足」や「その育成・確保にかかる工数」といった問題を解決するための、様々なドローンソリューションを展開している。

 エアロネクストが展開する重心制御技術『4D GRAVITY®︎』搭載の産業用ドローンは、複数のペイロード搭載や、ペイロードの位置が側面や上部に搭載しながらも安定的な飛行が可能であり、またその安定性によるエネルギー効率の改善により長時間、長距離の飛行を可能にすることから、一度の飛行中に「写真や動画を撮る」だけの単一作業だけでなく複数の仕事を実施することができる。つまり、重心制御技術「4D GRAVITY®︎」搭載の産業用ドローンだからこそ、次世代コンセプト「空飛ぶロボット(Flying Robots)」を現実化できるのだという。

 センシンロボティクスが得意とする送電線、鉄塔、ダムなど、広域にわたる社会インフラの保守・点検分野において、既存の産業用ドローンでは対応できなかった複雑な用途で『4D GRAVITY®︎』搭載ドローンを活用することで、センシンロボティクスの保有する顧客の具体的な要望に応じた提案・開発を行うことが可能になる。

 センシンロボティクスとエアロネクストは、相互の技術と顧客・用途開発のノウハウを組み合わせ駆使することで、力を合わせ産業用ドローンの次世代コンセプト「空飛ぶロボット(Flying Robots)」を具現化し、顧客の課題、ひいては社会課題の解決と「ドローン前提社会の実現」に貢献していく、としている。

SENSYN FLIGHT COREとは

 『SENSYN FLIGHT CORE』とは、特別な知識や技術がなくてもドローンによる業務自動化を簡単に実現させる総合プラットフォームである。簡単なフライト設定を行えるだけでなく、フライトプラン・実績データの一元管理、複数機での同時飛行や様々なメーカーのドローンへの対応、UTM*への接続など、業務の自動化に不可欠な充実した拡張機能を備えている。(https://www.sensyn-robotics.com/solution/sensynflightcore

*UTM…無人航空機管制。Unmanned Aerial System Traffic Managementの略。

重心制御技術『4D GRAVITY®︎』について

 機体の重心制御技術『4D GRAVITY®︎』は、ドローンの飛行姿勢や動作に応じて重心位置を最適化させる一連の技術の総称で、厳しい気象条件に対応し、高い機動性や燃費の向上に貢献する、次世代ドローンに必須の技術。
 エアロネクストの独自の重心制御技術『4D GRAVITY®︎』は、UAVにおける機体の構造を根本的に見直し開発したもので、従来のドローンでは実現できなかったその安定性、信頼性で産業用ドローンの用途範囲を大きく拡大する。既に360°VR撮影ドローン『Next VR™』、水平輸送用ドローン『Next DELIVERY®︎』、次世代産業用ドローン『Next INDUSTRY®︎』、ピンポイントランディング対応VTOL宅配ドローン『Next VTOL®︎』等、『4D GRAVITY®︎』搭載の産業用ドローン『Next』シリーズの原理試作を複数種類発表している。また、量産化に向けて農業機械製造大手の小橋工業、VAIO、中国産業用ドローンメーカーの最大手MMC等との提携により複数の経路で『4D GRAVITY®︎』搭載の産業用ドローンの供給が可能な体制を整えている。(https://aeronext.co.jp/technology/