2019年9月25日、DJIは、米国ロサンゼルスで9月24日から開催しているDJI年次カンファレンス「AirWorks 2019」で、企業や政府機関がドローン技術を日常業務に取り入れることのできる技術やツールを新たに発表した。

 Corteva Agriscience、DroneDeploy、FLIR Systems、ロサンゼルス消防局、Marathon Petroleum、MicrosoftなどのAirWorksに参加したDJIの顧客やパートナー企業は、農業からエネルギー産業といった様々な業界で、ドローン技術が生産性をどのように変えてきたかを紹介している。また、DJIのドローン技術を使って、人命救助に活かす方法なども紹介した。

 カンファレンスのオープニングを飾る基調講演では、DJIの上級役員が、様々な日常業務に適用できるドローン技術の主なアップデートを以下のとおり発表した。

P4 Multispectral – 世界初の完全統合型マルチスペクトルイメージングドローン。農業の次世代を強力にリードし、効率的で環境に配慮した土地管理を実現

Agras T16 – 肥料や農薬などの液体を、圃場の農作物や果樹園に簡単かつ正確に噴霧することができるDJIの最新農薬散布ドローンをグローバルで販売開始

DJIの災害救助プログラム – 山火事、ハリケーンや台風、洪水、竜巻、地震などの自然災害対応や復旧作業で、初動対応する警察や消防向けに DJI のドローン技術とサポートを迅速に提供するための新しい取り組み

P4 Multispectral
Agras T16

 「DJI は、昨年エンタープライズ向けドローン技術の提供に注力してきました。その結果、アメリカの最も洗練された企業や政府機関の一部は、ドローン技術を日常業務に安全かつ確実な方法で配備できるようになりました。今年は、実用的なドローンを農業従事者や農学者、土地管理者に紹介し、より効率的で環境に優しい方法を用いた土地管理の実現を目指しました。また、緊急対応にあたる要員が、業界最高のツールに確実にアクセスをできるようにして、自然災害時に迅速に対応し、命を救うために必要な支援を提供できるようにします」と、DJIバイスプレジデント兼アメリカ地域担当マネージャーMario Rebelloは述べている。

基調講演の様子

産業イノベーションを展示

 ドローン技術は、世界中の企業や組織の時間と予算を節約し、労働者の安全性向上に役立っている。DJIのパートナーやユーザーから、それぞれの業界でドローン技術を統合、革新するための独自のアプローチが紹介された。

FLIR社のMUVE C360とDJI Matrice 200 V2シリーズ

FLIR Systems
 DJI Matrice 210専用に開発された業界初のマルチガス検出器、MUVE C360を導入。MUVE C360は、新しいレベルの安全性を実現し、作業開始までの時間を大きく短縮。一刻を争う状況下でより完全な判断基準を提供する。

Microsoft
 企業や組織がAzure IoT EdgeやAzure Cloudなどのテクノロジーを使用してDJIドローンフリートの安全な展開を合理化する方法を展開。さらに、DJI Manifold 2は、Azure IOT Edgeの認定を受け、企業がAIワークフローをエッジ上のデバイスに展開する方法を簡素化している。

Corteva Agriscience、DroneDeploy
 世界中の農業業界で最大規模のドローン配備の1つである約500台のドローンフリートを調整および管理する事例を共有。

ロサンゼルス消防局
 米国内でも屈指の公共安全機関の1つ。様々な状況下の緊急時や有事の際の対策用ツールとして、ドローン技術を活用する方法を紹介。紹介事例は、山火事対応時のホットスポット特定や空撮マッピング、迅速な水難救助、危険物処理のオペレーション、都市部の調査や救助活動のための緊急対応など。

American Petroleum Institute、Marathon Petroleum
 石油およびガス産業におけるドローン技術の活用に関するベストプラクティスと、業界標準を定義する取り組みを発表。また、水路やフレアスタックの点検でドローンを使用することにより、作業員の安全性がいかに向上したかという報告も紹介。

ドローン開発を推進する新しいツール

 DJIは、プロフェッショナルドローンユーザーへのサポートに加え、DJI X-Portの導入により、ドローン技術を開発する担当者に、新しいツールを提供している。DJI Matrice 200 V2シリーズドローン向けの新しいジンバルアタッチメントであるX-Portにより、ドローンのハードウェア開発者は、マルチスペクトルカメラやLiDARセンサーといった独自のカスタムセンサーを迅速に統合できる。X-Portは、通信APIを内蔵し、DJI SkyPortを統合、ジンバルデバッグ用のインターフェイスを備え、開発者は自分たちの開発したセンサーを市場に迅速に投入できるようにすることで、開発の開始から完了までの時間を最大40%短縮する。

ドローン技術への投資に対する延長保護プラン

 DJIは、Enterprise Shield Renewサービスプランも新たに発表した。衝突や水の浸入、もしくは、信号干渉による偶発的な損傷を保証するEnterprise ShieldによるDJI エンタープライズ製品への包括的な保護を延長する。

Enterprise Shield Basic Renew - 製品の損傷が1年以内に発生した場合、割引価格で1製品の交換を提供する。製品の公式保証期間は、少なくとも12ヵ月延長される。(保証延長は、オーストラリア、カナダ、中国、米国のみ)
Enterprise Shield Plus Renew - 1年以内に製品の損傷が発生した場合、無制限の交換または無償修理サービスを提供。


▼AirWorks 2019 https://www.airworks2019.com