テラドローンアンゴラメンバーの操縦するドローンより、上空から撮影された写真

 2019年9月19日、テラドローンアンゴラは大手国際石油メジャーと共同で、アンゴラ国内のオフショア油田でのドローンを活用した油流出事故の現状把握をするための実証実験に成功したことを発表した。

 同実証実験では、油流出のシミュレーションをするため、色のついた環境に優しい天然染料を海に放出。RGBカメラと偏光フィルターを搭載したドローンによる6回の飛行を実施し、この染料が流出した表面積を算出することを目的とした画像データを取得した。このデータが実際の現場で迅速に得られることにより、事後対応がスムーズに行えるようになる。

 油流出事故は、経済的損失だけでなく、海洋生態系へ甚大な被害をもたらす。さらに、この被害は一国にとどまらず、一度流出してしまうと近隣諸国の海にも石油は広がり続けるため、油流出事故を起こした企業や国は、その周辺諸国から訴訟を起こされる事態に発展することもある。実際に今年6月には、2009年にオーストラリア北部で発生した油流出事故をめぐって、インドネシアの海藻養殖従事者らがオーストラリアの石油会社に対し、およそ2億ドルの賠償金を求める裁判を開始している。

同実証で使用された大型船

 このような被害を最小限に抑えるためには、油流出への迅速かつ効率的な対応が必要不可欠となる。従来では、現状把握を目的とした予備調査の際にヘリコプターやセスナ機を使用していたが、ドローンを活用することで安全な調査が可能となる。さらには、有人機を使用する際の莫大なコストを削減できるほか、飛行申請が不要なため、迅速な対応が実現する。

 テラドローン代表の徳重氏は「ドローンを活用することで、従来ヘリコプターにかかっていたコストを削減することができる上、石油流出の被害状況をいち早く把握し、被害を最小限に抑えることができる。今後、全世界に対してこのようなサービスを行っていく。」と述べた。