2019年8月30日、日立システムズは、ドローン空撮の代行、撮影した画像の加工と診断、データの保管・管理などをワンストップで支援する「ドローン運用統合管理サービス」を提供している。今回、同サービスのうち、ドローン空撮写真からの「3次元モデル生成」や「診断」「管理」などを、ユーザー自身が簡単なボタン操作で行うことのできるクラウドサービスをラインアップに追加し、本日から提供開始する。これにより、比較的シンプルな構造の建物や、小規模な構造物などについては、3次元モデル生成から点検や劣化箇所管理までを、簡単にいつでもユーザー自ら行うことができるようになる※1。

提供背景

 昨今、企業は少子高齢化の進展による労働力不足に悩まされており、作業員の技術レベル維持と伝承、人員確保などが大きな課題となっている。こうした課題に対応すべく、国土交通省が建設生産システム全体の生産性向上をめざす取り組み「i-Construction」においてロボットの活用を推奨するなど、ドローンの利用が急速に拡大している。

 同社は、2016年9月の「ドローン運用統合管理サービス」の販売開始以降、利用者のニーズに合わせてさまざまな機能を開発してきた。販売開始当初は、橋梁・トンネルをはじめとした大規模な公共構造物を点検・補修する建設コンサルティングやゼネコンなどからの問い合わせが多い状況だったが、最近では、頻発する地震や風水害などの災害に対する防災意識の高まりから、マンションや商業ビルなどの住宅・ビル施設を管理・点検する不動産事業者や点検事業者などでも、点検時にドローンを活用して安全かつ効率的に劣化状況を把握したい、というニーズが増えてきている、という。

 こうしたニーズに応えるため、同社は、「ドローン運用統合管理サービス」において、ユーザー自身がドローン空撮画像からの「3次元モデル生成」や「診断」「管理」などを行うことのできるクラウドサービスをラインアップに追加し、提供を開始する。

 具体的には、構造物全体を網羅するように撮影した2次元画像(写真)があれば、構造物の3次元モデルを生成する「3次元化」や、写真と3次元モデル上の位置を紐付けることで構造物と劣化箇所を一元管理する「3次元管理台帳」などの機能を、ユーザーが直接クラウド上のメニューを操作して簡易に利用することが可能となる。

 また、価格体系も、これまでの月額定額制から、利用する機能やデータ処理する画像枚数単位に課金する月額従量制に変更したため、初期費用なしで利用状況に応じたスモールスタートが可能となる。

 これにより、 従来は自社でデータ加工技術者を育成できなかった企業、点検規模や頻度の問題からソフトウェア導入が難しかった企業などでも、3次元モデルを活用した点検や劣化箇所管理などを行うことができる。

 今後も同社は、日立グループ各社をはじめとするビジネスパートナーと、ドローン関連ビジネスにおける連携をさらに強化することで2020年度までに200社以上の導入をめざす、としている。

「ドローン運用統合管理サービス」の画面例

価格(税抜)

・初期費用:不要
・経常費用:基本使用料:30,000円/月(必須)
      点検機能利用料:70,000円/月(利用月のみ)
      AIを用いた劣化抽出機能利用料:200円/画像1枚(利用した場合のみ)
      3次元モデル生成機能利用料:30円/画像1枚(利用した場合のみ)※2

「ドローン運用統合管理サービス」について

 全国のサービス拠点やクラウド基盤を活用し、ドローンの操縦や撮影代行、撮影した画像の加工と分析、パブリッククラウドも活用したハイブリッドクラウド環境でのデータの保管・管理、さらには業務システムとのデータ連携を支援するサービスである。2017年11月にはドローンで撮影した2次元画像(写真)から構造物全体の3次元モデルをクラウド上で生成し、構造物の劣化箇所が全体のどこにあるかを紐付けて管理できる機能を強化しました。これにより、構造物管理時の紙図面から3次元モデルへの移行や、構造物点検時の目視から写真利用への移行などを実現し、点検・管理業務の効率向上やサービス品質の向上に貢献している。
 詳細は (https://www.hitachi-systems.com/solution/s0308/robo-d/index.html)を参照。

※1 大規模で複雑な構造物の3次元モデルを作成したい業務、より高品質な3次元モデルが必要な業務などにおいては、これまでどおり、日立システムズの技術者による支援サービスも提供可能である。
※2 i-Constructionを想定した場合の画像は、縦方向90%、横方向60%のラップ率に応じた枚数が必要。