2019年7月19日、Liberaware(以下リベラウェア)は、屋内環境において、一酸化炭素(CO)や硫化水素(H2S)といった有毒ガスを検知する機能を有した産業用小型ドローンの開発を開始したことを発表した。

 同社は、狭小空間を安定して飛行することのできる産業用小型ドローン「IBIS(アイビス)」を製造しており、製造業や建設業を中心に、狭くて人が進入できない空間や粉塵が多く発生する等の危険な環境下における設備点検用ドローンとして活用されている。今回開発に着手した有毒ガス検知機能を有するドローンは、このIBISをカスタマイズしたものとなる。

開発背景

 これまで配管や煙突、ボイラー等の内部の点検で使用される中で、設備点検の用途以外にも、そもそも人が安全に進入できる環境かどうかを確かめたいというニーズがあることに着目したという。このニーズに応え、一酸化炭素や硫化水素の濃度を測定する検知器を搭載したドローンを開発するに至った。同製品を活用することで、設備修繕の作業を始める前に、より安全に効率よく有害ガスの有無をチェックすることが可能になり、さらなる業務の生産性向上を図ることができる。

 具体的な機能としては、飛行するドローンが撮影しているリアルタイム映像に一酸化炭素や硫化水素の濃度を表示するほか、ドローンが離陸してから着陸するまでの濃度の推移をログデータとして保存することもできる。ドローンを飛行させるのに手間はかからないため、有毒ガスが発生・滞留する可能性のある場所に人が近づくことなく、短時間で手軽に安全な環境であるかどうかを確かめることができるようになる。

産業用小型ドローンIBISの概要

サイズ190×180×50mm (プロペラガード込み)
重量170g(バッテリ込み)
飛行時間最大12分間
装備類LED照明、防塵用モーター、独自設計のプロペラ 他

今後の展望

 今後は、2020年度にかけて、同製品をプラント等の実現場にてテスト使用し、使い勝手や精度を確認する検証作業を実施する。テストを経た後の本格展開にあたっては、同社がドローン飛行・測定を行う「点検サービスプラン」と、同製品を貸出す「レンタル導入プラン」の2種類のメニューにてサービス提供する、としている。

 同社では、狭小空間を安定して飛行することのできる技術をベースに、ロボティクス及びAI技術のさらなる研究開発を進め、プラントやインフラ設備における点検業務並びに屋内空間の計測業務の生産性向上に資する製品・サービスを提供していく、との展望を示した。