2019年7月5日、NTTドコモ(以下、ドコモ)と台湾の携帯電話通信事業者FarEas Tone Telecommunications Co., Ltd.(以下、FET)は、ドローンを活用して通信鉄塔の点検作業を支援するサービス「docomo skytm for Tower Inspection」の共同実証プロジェクトを、2019年6月20日(木)から台湾で開始したことを発表した。

 同プロジェクトは、ドコモがドローン運用をトータルにサポートするサービス「docomo sky」をドコモの出資先であるFETに提供し、FETが保有する基地局の点検作業を、ドローンを活用して支援するものである。同プロジェクトは、より安全で効率的な点検作業をめざし、段階的に実証実験を行って、同サービスの有用性を検証する。「docomo sky」を活用した基地局点検ソリューションの海外展開は、インドネシアに続いて2例目になる。

 同サービスは、ドコモの商用ネットワークの基地局点検のために全国展開しているドローン基地局点検システムをベースに開発されたものである。ドローンの操縦者が、簡易な操作でドローンをコントロールできるグランドコントロールステーションアプリケーション(以下、GCSアプリ)を用い、基地局の高度やドローンとの距離などを設定することで、ドローンの自動飛行、自動撮影、撮影画像のリアルタイム送信が可能になる。また、点検者は「docomo sky」のWEBサイトにログインすると、専用画面から遠隔地の品質保全状況の確認を即時に行うことが可能である。

 台湾では、点検者が基地局を1基ずつ目視で確認して、故障箇所を特定することが一般的であり、その点検にかかる人的コストが課題となっていた。同サービスを導入することで、短時間で効率よく、安全に品質保全状況を確認し、早期の対処が期待できる。

 同プロジェクトの導入実証は、2019年6月20日(木)に台湾 新竹市周辺のFETが保有する基地局で実施し、ドローンで撮影した映像により基地局の破損、サビなどの状況を確認した。これにより点検者が鉄塔を1基ずつ目視で確認する既存の手法と比較し、点検業務における作業の安全性の向上や3分の1程度の作業時間の短縮効果を確認した。今後も引き続きドコモとFETは台湾の基地局への同サービスの効果検証を行う、としている。

 ドコモは、日本国内で培ったドローンによる基地局点検の技術開発と安全で実績ある運用ノウハウを踏まえながら、グローバル規模でニーズが高いドローンビジネスでの海外展開を見据え、同プロジェクトをはじめとした国外での実証プロジェクトに取り組んでいる。同社は、これからも安心して暮らせるサスティナブルな社会の実現に向けて、これまで培ってきたネットワーク技術やプラットフォームビジネスなどのさまざまな技術アセットやノウハウを活用し、社会課題の解決やより豊かな社会の実現をめざして、先進的なドローンサービスを創出していく、との展望を明らかにした。

※「docomo sky」はNTTドコモの商標。

共同実証プロジェクトの概要

 台湾国内の基地局などを対象にドローンによる点検サービスを提供。
 ドローンによる基地局点検サービス「docomo sky for Tower Inspection」のシステム概要

共同実証プロジェクトの概要

※GCSアプリ=簡易な操作でドローンをコントロールできるようにするアプリケーション。
※一部開発中のものを含む。そのため、仕様が変更されることがある。

各社の役割

ドコモ
・docomo skyおよびGCSアプリの提供

FET
・基地局などの実証環境の提供
・ドローンの操縦者および点検技術者の育成など

実証実験を行った通信鉄塔