2019年6月21日、エアロネクストと深圳に拠点を置きティルトローター垂直離着陸機(tilt-rotor, VTOL)に強みをもつ産業ドローンの大手メーカーである深圳智航無人機有限公司 Shenzhen Smart Drone UAV Co.,Ltd. (以下SMD)は、今後爆発的に普及が見込まれる物流ドローン事業の中国、日本およびアジア全域での本格的市場立ち上げを目指して戦略的提携を行ない、SMDの持つ物流ドローンの顧客基盤と豊富な経験と実績をベースにして、エアロネクストの独自の重心制御技術「4D GRAVITY®︎」テクノロジー搭載の物流ドローンを活用した事業開発の検討を開始したことを発表した。

写真向かって右より、エアロネクスト代表取締役CEO 田路圭輔、深圳智航無人機有限公司 董事長 Edward Jin
写真向かって右より、エアロネクスト代表取締役CEO 田路圭輔、深圳智航無人機有限公司 董事長 Edward Jin(SMDにて)
SMDロゴ

 エアロネクストの独自の重心制御技術「4D GRAVITY®」テクノロジーは、UAVにおける機体の構造を根本的に見直し開発したもので、従来のドローンでは実現できなかったその安定性、信頼性で産業ドローンの用途範囲を大きく拡大する。既に様々な用途を想定した、4D GRAVITY®搭載の産業ドローン『Next』シリーズの原理試作を複数種類発表している。

 また、同社は5月に、深圳市にあらたに現地法人「天次科技(深圳)有限公司 (英文名 Aeronext Shenzhen Ltd.)」を設立し、中国市場での4D GRAVITY®テクノロジーライセンスビジネス推進の一歩を踏み出したばかりである。

 深圳に本社を構えるSMDは、「グローバル規模でのUAV産業のパイオニア」と称し、機体の気動設計、フライトコントローラー、運用システムの全サプライチェーンを自社開発可能なケイパビリティを持ち、大型積載量かつ長時間飛行が可能な物流用途に強みをもつ産業ドローンの大手メーカーである。マルチコプターとティルトローターVTOLの製品群をもち、リモートセンシング、セキュリティ、長距離巡回、物流の4大領域で事業展開をしており、特に物流領域においては、中国大手航空物流企業や中国郵政などの顧客基盤を軸に、山間部や離島間輸送で豊富な経験と実績を有している。

SMD 董事長: 金良 Edward Jin 氏コメント

 「SMDはVTOLに特徴を持ち、中国物流の大手SF EXPRESSをクライアントとして持っており、そのため物流向けのドローンの開発においては豊富な経験を積み重ねています。
 一方で、エアロネクストは、物流において荷物の安定性に関して非常に技術を持っています。例えば液体を輸送するにも漏れないためには安定性が必要であり、エアロネクストの技術は非常に有意義なものだと考えます。
 エアロネクストとは我々のVTOLにいかに4D GRAVITYを搭載できるかを一緒に考えていきたいと思っています。それにより物流においてより多くのシェアを獲得したいと思います。液体だけでなく、地震などの災害の荷物の搬送にも安定性は非常に重要です。
 エアロネクストと我々はそれぞれの特徴を生かしながら世界のドローン産業の発展に貢献していきたいと思います」。

今後の展望

 両社は、中国市場において、4D GRAVITY®︎を搭載することによって可能となる新しい物流用途を共同で開拓することを目指し、4D GRAVITY®︎搭載の物流ドローンを活用した事業開発に着手する合意に至った。同時にSMDはエアロネクストの日本における豊富なリソースを活用し、日本の産業ドローン市場におけるユースケースの開発にも積極的に関わっていき、日中の産業ドローン市場の拡大に貢献していく、としている。

 エアロネクストは、中国市場をグローバル展開のショーケースと位置付け、産業ドローン領域で多くの経験と実績を有するSMDを中国市場での戦略的パートナーに迎え、顧客の具体的な課題に適応した物流ドローン機体の開発を大きく前進させていく、と今後の展望を明らかにした。