2019年5月15日、テラドローンインドネシアは、国際協力機構(JICA)の協力のもと、インドネシアのスラウェシ州・パルにて、測量用UAV LiDARを活用し、被災地域の高精度地図を作成したことを発表した。

テラドローンインドネシアとJICAの参加メンバー(インドネシアのパルにて撮影)

 インドネシアのパルが被災したのは、スラウェシ島地震が発生した2018年9月28日。この地震はマグニチュード7.5を記録し、さらに大地震後に発生した高さ約3メートルの津波により、パルは甚大な被害を受けた。

 この地震と津波により、広い地域で水道、電力、下水道などのインフラが壊滅的な被害を受け、さらには液状化現象による大規模な地盤の崩壊や流動が発生した。その結果、被災地のほとんどで住宅の建設が困難となった。

 住宅の建設をするには、第一に地盤の状態確認、地形の把握をしなくてはならない。そこでまず、被災地域の高精度地図が必要となった。しかし、多くの地域における道路の閉鎖、また余震の可能性から、地図作成を目的とした地形測量を実施することは厳しい状況であった。しかし、ドローンを使用して地形測量をすることにより、より安全に且つ効率よく地形データを収集することが可能となった。

 テラドローンインドネシアは、2019年3月、二度にわたりLiDARを活用した地形測量を実施し、合計で1000ヘクタール以上の土地の測量を完了した。この地形調査で収集された画像データにより、地盤の状態確認、地形の把握はもちろんのこと、最も被害の大きかった地域の特定が可能となった。これにより、政府や救援機関はより安全に効率よくインフラや住宅の再建に取り組むことができるようになった。

LiDARによる地形測量で得られた、3Dマップ、数値標高モデル、等高線データ

 テラドローンインドネシア代表のマイケル・シアジアン氏は、「弊社のLiDARを活用し、低空域からレーザーを放射することで、高密度な植生などの複雑な地形も撮影することができ、詳細な3Dマップを作成することができます。他の同様な技術と比較すると、弊社のLiDARを活用することで、およそ2〜3倍低コストに抑えられます。」と語った。

 同社のLiDARは、災害復興のみならず、災害対策にも活用することができる。あらかじめ測量を行い、地形データを取得しておくことで、災害時に土砂崩れなどの被害が起こりそうな地域を把握できる。これにより、救援機関や政府は、事前に対策の構想、そして注意喚起をすることができる。

 テラドローンは、今後もLiDARによる測量をはじめとするドローンソリューションを活用し、各国の災害復興や災害対策に貢献していく、としている。

離陸直後のLiDARを搭載したドローン