2019年5月9日、テラドローンインドは、インド マハラシュトラ州の政府関連機関に対し、灌漑(かんがい)を目的とした およそ東京都2つ分(4,200平方キロメートル)の土地の大規模測量の実施に成功したことを発表した。

今回の測量で撮影した写真から画像処理を行って作成したオルソ画像

 今回の測量ではRGBセンサーを搭載したドローンを活用し、高精度な空中写真を撮影。自社のシステムで取得したデータを処理解析し、地上解像度(GSD)約2cm/pixel精度の各種成果物を作成し、1085の村を含んだ広大な土地の区画整理を実現した。従来の測量方法と比べると、約2分の1の時間で測量を完了させたことになる。

 また地質調査や水質調査を行い、そのデータをドローンで取得したデータと併せて処理、解析した。これにより肥沃な土地が居住地として使用されている場合には農地に変えて農業の効率性を上げるなど、様々な改善策を検討することを可能にした。

 このような最新テクノロジーを駆使した測量により、灌漑の状況に加え、居住地と農地の境界、栽培されている農作物の種類など、土地に関する多角的な情報を視覚化し、現状の把握を容易にすることに成功した。

測量を実施するテラドローンインド社員

 現在、インドでは農業用水の税金未納が深刻な社会問題となっている。これがより深刻な問題となっている背景として、インド国内全体の水利用のおよそ8割を農業が占めていることがあげられる。農地の中には、徴税から逃れるため、耕作地としての申請がされていない地域で、農作物が栽培されている例が多く見られた。農業用水に対する徴税が極めて困難なことから、政府にとってこの課題の解決は急務となっていた。

 これに対し、同社はドローンを活用した大規模な測量を実施し、高精度なデータベースの構築を実現した。過去に作成された地図をアップデートすることで、土地の使用状況や変化を正確に把握することができるようになった。これにより政府は、徴税の対象地域の特定、加えて地質や水質に応じた土地に対する徴税額の決定が可能となった。

 テラドローンCEOの徳重氏は「従来、政府は作業員による測量を行なってきたが、データがほとんど残らない上に、人的ミスが生じていた。しかし、ドローンを活用することで、政府は様々な種類の処理解析されたデータを蓄積することができ、将来も活用していくことができる。今後も、ドローンを活用した大規模な測量を行い、各国が抱える問題を解決していきたい。」と話した。

 テラドローンは、今後もドローンや最新テクノロジーを活用した測量や点検を効率的に実施し、付加価値の高いデータを提供することで、日本及び世界各国の政府や企業に貢献していく、との展望を示した。

ドローンにより取得した画像を処理解析して作成した区画の境界と農地データを重ねて示した地図データ