2019年3月28日、テラドローンは、自律飛行を活用した風力発電設備向けブレード点検サービスを開始したことを発表した。

独自のSLAM搭載のシステムを取り付け、ブレード点検を行うドローン

 現在、風力発電機のブレード点検を行う際、重機やロープを使った点検が主流となっている。このような従来の方法では、人による高所作業となるため、長時間を要し、危険が伴っていた。
 しかし、今回同社が開始するドローンサービスを使用することで、ブレード1枚当たりの点検時間は約8分、すなわち1日に約7、8機の点検が完了する。従来の重機点検やロープ点検では1日1~2機の点検が限度だったことと比較すると、約8倍の点検効率が実現する。さらに高所作業の必要がないため、より安全な作業が可能となった。

 現在、ドローンによる風力発電機の点検は、マニュアル操作で行われており、現状課題として、オペレーターの操縦技術に依存するため操作ミスによるブレードへの衝突事故の発生、さらに点検後に撮影した画像データの管理ができないことなどが挙げられた。しかし、同社のドローンサービスの活用により、これらの課題を解決することができる。

 同システムに搭載したSLAM技術(Simultaneous Localization and Mapping:各種センサーから取得した情報から、自己位置推定と地図作成を同時に行う技術)により、風力発電設備を照射しながら、自己位置推定を行うことで自律飛行を実現した。そのため、上記のような突発的な事故の確率を低減し、安全な点検が可能になる。

 さらに、撮影した画像は、専用のソフトウェアを介してクラウド上で管理ができ、AIによる画像処理によって、表面の損傷度合いを分類することが可能となった。結果として、点検クオリティの向上に繋がることが期待される。

 現在、国内では点検作業員の不足が深刻化する一方、発電機の稼働率の向上が課題となっている。特に、落雷被害のような不測の事態に対しては、速やかな点検が早期の原状回復のために何より重要となる。同社は、このような課題をドローンソリューションにより解消し、風力発電機の点検に貢献していく、としている。

 以下、同社のドローン点検サービスにおける3つのメリットである。

1 時間短縮
 従来の重点検やロープ点検では1日1~2機の点検が限界だったが、同社のドローンサービスを使用することで、ブレード1枚当たり約8分で点検が完了。従って1日に約7、8機の点検が可能となる。

2 安全性の向上
 ドローンを使用することで、作業員が高所に登る必要がなくなり、安全に点検することができる。また、自律飛行が行えるため、人的な操作ミスが生じず、誤ってブレードに衝突する危険はほとんどない。専門スキルや資格がなくても、約1週間の訓練で、誰でも安全にドローン点検を行うことができる。

3 点検クオリティの向上
 自律飛行が可能なため、ブレることなく近距離で撮影ができ、平均0.4mm/pixの高画質なレポートを得ることができる。撮影した画像は、専用のソフトウェアを介してクラウド上で管理ができ、AIによる画像処理によって、表面の損傷度合いを分類することができる。またソフトウェア上で撮影した画像を拡大でき、ミリ単位の傷を見ることも可能である。

ドローン点検から得られる高画質レポート①
ドローン点検から得られる高画質レポート②(破損の大きさは約30cm。ソフトウェア上で、傷の大きさを計測することも可能。)