2019年3月15日、フロスト&サリバンはドローン配送のグローバル展望を発表した。同社のリサーチ「ドローン配送のグローバル展望と市場機会」によると、サービスや修理・メンテナンス用途でのドローンの需要が将来急激に拡大し、Eコマースで利用される配送ドローン(マルチコプター型および固定翼型)はグローバルで2025年までに220万台に到達する予測である。ドローン配送の試験飛行は Flirtey、Flytrex、Ziplineなどのドローン配送ベンチャーや、アマゾン、アルファベット、アリババ、JD.com、エアバス、UPSといった企業によって、これまでに米国、イギリス、カナダ、オーストラリア、日本、スイスを含む15カ国で実施されている。テクノロジーやEコマース、航空やロジスティクスにおける高い専門性を持つ異業種からのドローン配送ビジネスへの参入は、今後同市場の成長を 大きくけん引することが期待される。

 「迅速な配送や交通渋滞の緩和、遠隔地へのアクセス、ミスのない配送といった高い利便性を持つドローンは、末端の配送拠点とエンドユーザーを結ぶラストワンマイルの配送手段として期待されている。ドローン配送には多岐にわたる技術が関わっており、ドローン配送サービス企業はドローンのソフトウェアプラットフォーム開発企業と提携し、AI(人工知能)や自動飛行技術の開発に取り組んでいる。さらに、騒音を抑制する次世代型のドローン用プロペラを開発する企業との提携においても、莫大な市場機会が存在する」と、フロスト&サリバンのモビリティ部門コンサルタントのジョー・プラヴィーンは述べている。

 サイバーセキュリティに対する投資は、ドローン配送サービスの実施拡大において極めて重要となり ます。ブロックチェーンを用いることで、商用ドローンのより安全かつ正確な追跡調査や飛行制御が 可能になる。ブロックチェーンのクリプトグラフィー(暗号技術)による安全性が確保されたネットワークにより、ドローン同士やコマンドセンター同士、エンドユーザーの携帯電話とのセキュリティが確保された通信も可能となる。
 「ドローン配送サービスは今後次第に拡大し、企業にも大きな市場機会をもたらすことが見込まれる。ドローン配送サービスが生み出す市場機会を活用するためには、ドローン飛行規制の策定が求められる。米国の多くの州では、ドローンの飛行許可が認められる状況や用途に関する法規制の枠組みを策定中」と、プラヴィーンは述べている。

 同社の分析では、ドローン配送サービスの市場拡大には以下の課題への対応が求められる。
・新たなビジネスモデルや収益モデルの確立のために、使用目的毎の特定のニーズに対応したドローンの開発。
・ドローン配送の円滑な運用のための、ディストリビューションハブや配送プラットフォーム、充電ステーションなどのサポートインフラの確立。
・関係する政府機関と密に連携した、ドローン配送の運用における規制枠組みの策定。
・安全性や飛行規制、騒音における課題の解決。