DJIは、判断の極めて難しいミッションを遂行する産業ドローン操縦者向けに、向上した操作性と強化された安全性、セキュリティ性能を兼ね備えたハードウェア「MATRICE 200シリーズV2(以下M200シリーズV2)」と、ドローン管理ソフトウェア「FLIGHTHUBエンタープライズ」を発表した。M200シリーズV2は、より優れた信頼性、安全性、セキュリティ機能を備えて再設計されている。また、FlightHubエンタープライズは、利用者により多くの実装制御とデータセキュリティの保証をもたらす。これにより、産業ドローン利用者は、BVLOS(目視外飛行)や夜間運用のための技術的基盤を築きながら、ドローンプログラムの拡張および管理をすることができる。

 DJIストラテジック パートナーシップ ディレクター Jan Gasparic氏は、「日常的に行われるマッピング業務から、慎重さが求められる点検業務に至るまで、世界中の企業・団体はDJIがより堅牢かつ安全で拡張性のあるソリューションを提供することに期待している。先進的な企業は、ドローンフリートの運用を数百台から数千台に拡大し、この運用を一元化するためのより良い方法を求め、より安全で信頼性の高いドローン技術を要求する分野にドローンを導入している。最新のM200シリーズV2は、困難な捜索救助活動、慎重さが求められる場所での飛行や夜間飛行に対応できるようになった。一方、 FlightHubの機能強化により、運用中のドローンフリートや生成データの管理も可能になった」と述べている。

Matrice 200シリーズの機能強化

 DJI産業用ドローンM200シリーズV2には、新機能が追加され、既存機能も強化されている。より堅牢な全天候型設計、簡単なセットアップと構成はそのままに、主要機能がアップグレードされ、より安全で信頼性の高い操作を実現する。建築物やインフラ設備の点検業務、公共の安全や捜索救助まで、M200シリーズV2は、ドローン技術で日常業務を劇的に変えたい企業や団体のための多目的プラットフォームである。M200シリーズV2の主な機能強化は以下の通り。

・信頼性の高い伝送 
-「OcuSync 2.0」を搭載し、最大8km[1]の伝送距離で(日本は最大伝送距離は5km)2.4GHzから5.8GHzの自動デュアル周波数帯域[2]の切替に対応し、高解像度で低遅延のデジタル映像伝送を操縦者に送り返す。

・データセキュリティ 
- OcuSync 2.0から送信されるすべてのデータは、最先端のAES-256規格を使用して暗号化されているため、重要な業務情報を確実に保護し、承認された関係者のみがアクセスできる。

・飛行の安全性 
- 米国連邦航空局(FAA)の夜間適用免除基準を念頭に置いて設計された衝突防止ビーコンが機体の上部と底部に追加され、低照度環境下や夜間飛行の安全性を高めている。また、ADS-B受信機を搭載した「AirSense」が装備されており、衝突リスクをもたらす可能性のある接近中の有人航空機の情報を操縦者へ提供する。

・飛行性能 
- 複数のペイロードを使用する操縦者は、DJI Pilotアプリから簡単に機体の重心キャリブレーションを行うことで、より安定した飛行が可能になる。

・データ精度 
- 新しい「TimeSync」機能は、フライトコントローラー、カメラ、GPSモジュール、RTKモジュールおよびサードパーティ製のペイロードや搭載アクセサリーを連続して連携させ、位置データを画像フレームの中心に固定しデータの精度を向上させる。

 今回の機能強化は、より高度なドローン操縦のための技術的基礎を築いている。Mavic 2 EnterpriseやM200シリーズV2など、DJIの最新産業用ドローンに夜間飛行[3]を可能にする衝突防止ビーコンを搭載することから始まり、衝突防止ビーコンと改良された伝送距離をADS-B受信機を内蔵したDJI AirSense技術およびFlightAutonomy障害物検知システムと組み合わせることにより、M200シリーズV2は、BVLOS(Beyond Visual Line Of Sight, 目視外飛行[4])操作をサポートするようになる。

FlightHubエンタープライズによる運用管理

 DJI FlightHubソフトウェアを使用すると、企業や団体は1つのプラットフォームから、産業用ドローン運用のあらゆる側面を効率的に管理できる。Webベースのサービスとして、FlightHubベーシックと FlightHubアドバンストは、実運用の監視、飛行データの管理、フリートと操縦者の管理、そして効果的に運用を計画する機能を提供する。また、FlightHubエンタープライズには、実装業務とデータセキュリティをより細かく管理できる追加機能がある。

・プライベートクラウドホスティング 
- 企業や団体は、 既存の組織リソースやセキュリティプロトコルを利用し、ドローンフリートの効果的なワークフローを構築でき、プライベートクラウドまたはオンプレミスのITインフラ内で、 FlightHubエンタープライズをホスティングすることを選択できる。

・専用アプリDJI Pilot 
- FlightHubエンタープライズ専用の新しいアプリ「DJI PILOT PE」は、高いデータセキュリティ要件を持つユーザー向けに設計された、DJIのフライトコントロールアプリのカスタマイズ版である。DJI Pilot PEは、データをパブリックネットワークに送信せず、プライベートITインフラにホスティングされている企業のFlightHubエンタープライズプラットフォームにのみ、直接接続される。

・ファームウェア管理 
- ドローンのファームウェア更新を一元的に管理し、ドローンフリートを独自のペースで認証および更新できる。その結果、セキュリティコンプライアンスを確保し、重要な任務遂行中の予期せぬ遅延を回避する。

・ミッション計画 
- ウェイポイントまたは地図作成ミッションを各操縦者に自動で送信し、ドローン運用計画を立て、監督する。

・デバイス管理 
- 機体とバッテリーの使用時間を含む機器の使用状況を記録し、機器が正しく機能し、機体メンテナンスがスケジュール通りに実施されるようにする。

 これらすべての新機能により、FlightHubエンタープライズは、大規模な災害対応業務、警察や消防などの指令本部でのリアルタイムのデータ確認による迅速な意思決定が求められる公共安全業務、エネルギーや通信産業での点検中に遠隔にいるエンジニアへの情報伝達など、ドローン技術を使用した重要ミッションの増加に伴い、幅広い商業および産業分野の顧客の需要に応える。

 Measure社CEO兼共同創設者 Brandon Torres Declet氏は「ドローンは、現場での意思決定の方法を変え、人々の安全を守り、事業資産のパフォーマンスを最大にするための情報を提供する重要なツールとなっている。また、私たちのユーザーは、ドローン技術をシンプルかつ安全、確実に取り入れたいと望んでいる。FlightHubエンタープライズを、同社の一体化ソフトウェアプラットフォームである、The Ground Control? に統合することで、私たちのユーザーは、前例のない制御と知見をすぐに手に入れるだろう。」と述べている。

DJI Enterprise 正規代理店:
www.dji.com/jp/where-to-buy/enterprise-dealers

M200シリーズV2製品情報:
www.dji.com/matrice-200-series-v2

FlightHubエンタープライズの製品情報:
www.dji.com/flighthub

[1]障害物、電波干渉がなく、FCCに準拠している場合。最大飛行距離の仕様は、無線の接続強度とレジリエンス(復元力)を踏まえた概測になる。許可がない限り、常に目視可能な場所でドローンを飛行させてること。
[2]国や地域によっては、現地の規制により5.8GHz伝送は利用できない。(日本国内は2.4GHzのみ利用可)
[3]夜間運用を実施する場合、事前に現地の法規や規制を確認。日本国内では、国土交通省が定める飛行ルールを遵守すること。
[4]BVLOS運用を実施する場合、事前に現地の法規や規制を確認。日本国内では、国土交通省が定める飛行ルールを遵守すること。