2018年12月21日、DJIは、産業用ドローン Mavic 2 Enterprise Dualを発表した。ビジュアルカメラと赤外線カメラを一つのユニットに統合し、厳しい現場環境でも安全かつ迅速に操作が可能な信頼性の高いツールとして、操縦者の業務をサポートする。

FLIRと共同で開発したMavic 2 Enterprise Dualは、DJIドローンMavic 2シリーズのコンパクト設計を踏襲し、今年10月に発表した Mavic 2 Enterpriseの特徴である多くの高度制御技術とアクセサリー拡張性も搭載されている。効率的なレポートと分析を行うため、Mavic 2 Enterprise Dualで温度を測定し、画像と温度データを容易に保存が可能。公共施設の点検業務から緊急事態への対応といったさまざまな業務オペレーションや一刻を争う任務に必要な情報を即座に提供する。

「公共の安全を保持する活動や点検業務では、ドローンはすでに一般的になってきている。場所と時間を選ばず、簡単に導入できる信頼性の高い空撮ツールを使うことで、ユーザーはすぐに必要な情報を入手できる。DJIとFLIRは2015年にZenmuse XTカメラを発表し、産業用ドローンの新たな分野を開拓した。Mavic 2 Enterprise Dualを導入すれば、操縦者はより安全なオペレーションを多様な環境下で行う事が可能で、任務の達成に集中することができる」とDJIのストラテジックパートナーシップディレクター Jan Gasparic氏は述べている。

FLIRの赤外線カメラを搭載し、携帯性に優れたパワフルドローン

Mavic 2 Enterprise Dualは、可視光を捉える4Kセンサーと、サーマル画像データを捉えるFLIR LeptonR サーモグラフィーマイクロカメラを一つのユニットに収容した3軸ジンバルカメラを搭載している。これら2つのセンサーにより、パイロットは夜間や霧、煙の立ち込める日中の複雑な環境下でも飛行させることができる。DJI Pilot飛行制御アプリの複数のインテリジェント表示モードから選択し、デュアルセンサーカメラのデータを可視化できる。

・FLIR MSX®
-FLIRの特許取得済み MSX(マルチスペクトルダイナミックイメージング)は、忠実度の高い可視光カメラデータを赤外線カメラのデータにリアルタイムで統合する機能である。視覚的ディテールが協調されるため、肉眼ではすぐに確認できない重要なデータを素早く特定し、解釈することができる。

・スポットメーター
-対象物の平均温度が表示されるため、操縦者は安全な距離を保ちながら、重要な対象物の温度測定や危険な環境を判断することに役立つ。

・エリア測定
-各エリアの平均温度、最低温度、最高温度および対応する場所を表示し、検査員が対象物を迅速に評価し、過熱しているかどうかを判断できる。

・等温線設定
-操縦者は、カスタムカラーパレットを使用し、表示させる特定の温度範囲を指定できるため、範囲内の対象物を、より高い対比で表示し、視認性を向上させる。この機能により、レスキュー隊が捜索救援活動で遭難者を特定したり、消防士が現場で火災現場でのホットスポットを特定したりできるように、プロファイルをカスタム化できる。さらに柔軟に対応できるようにカスタムプロファイル設定もある。

FLIRの社長兼最高経営責任者(CEO)Jim Cannon氏は「同社のサーマルマイクロカメラであるFLIR Leptonを搭載したMavic 2 Enterprise Dualは、サーマル画像処理機能をより多くのドローンに導入する重要な機会を提供する。世界をリードするプラットフォームを持つDJIとFLIRとの3番目のコラボレーション製品であり、サーマル画像が業界の基本機能となる重要な一歩となる」と述べている。

機能を追加できる拡張アクセサリー

Mavic 2 Enterprise Dualは、10月に発表されたMavic 2 Enterpriseのアクセサリー全てに対応している。アクセサリーはMavic 2 Enterprise Dualに確実に装着でき、DJI Pilot飛行制御アプリで操作できる。操縦者は、これらのアクセサリーで空中からの通信や作業の新たな道を切り開くことができ、ドローンは映像ツールとしての役割を越え、カスタム可能なプラットフォームとして、ミッションの作業生産性を向上させる。

・スポットライト
‒輝度 2,400 ルーメンのデュアルスポットライトで、暗闇や低照度環境下の作業をサポートする。スポットライトは、人命救助や点検業務において最良なツールである。

・スピーカー
‒最大出力音量100デシベル(距離 1m)の拡声スピーカーで、ユーザーは最大10種類の録音したカスタム音声を再生できるので、人命救助などの緊急時に周辺付近への重要なコミュニケーション手段になる。

・ビーコン
‒米国連邦航空局(FAA)の夜間適用免除基準を満たすM2E ビーコン(白色閃光等)は、最大で3マイル先(約 5km)からでも目視可能な明るいストロボライトを搭載している。操縦者は、低照度環境下や夜間であっても、より安全に業務を遂行でき、また近くを飛行するドローンや航空機に対しても注意喚起する。

強化されたデータセキュリティ機能

Mavic 2 Enterprise Dualは、Mavic 2 Enterpriseと同様、重要な業務における写真や動画、フライトログ、その他のデータを保護する新機能を備えている。産業向けのMavic 2 Enterprise は、24GBの内蔵データストレージとパスワード保護機能を搭載しており、ドローンの機能と保存されたデータのすべてのアクセスへの強化を実現する。パスワード保護を有効にしている場合、ドローンの起動時、送信機とドローンの接続時やドローンの内蔵ストレージにアクセスした際に、パスワードの入力が求められる。これにより、ドローンに物理的な障害があった場合でも、データを保護しながらドローンと内蔵データストレージへの安全なアクセスを提供する。

新しく搭載したGPSタイムスタンプ機能は、撮影された画像ごとに時間と位置情報を記録するため、操縦者の報告義務をサポートするとともに、ドローンで撮影したデータの信頼性を向上させ、重要なインフラ点検業務や合法的な治安維持に活用することができる。

加えて、データセキュリティにさらなる安全性を求めるユーザーは、ローカルデータモード機能を利用することで、ユーザーが接続しているモバイル端末からのインターネットへのデータ送受信を停止できる。同機能は、重要なインフラ設備や行政機関などのプロジェクト、その他慎重な対応が求められる業務に関連した飛行において、オぺレーターにさらなる安全性を提供する。

空域の安全性を高める最新技術

Mavic 2 Enterprise Dualは、操縦者の状況認識を強化し、空域の安全性を⾼めるDJIの AirSense 技術を搭載している。AirSense は、機体と一体型のADS-B信号の受信機を使用し、近くにいる航空機やヘリコプターの情報を操縦者に自動で警告し、DJI Pilotアプリから位置警告をリアルタイムで表示する。これにより、過密した空域や複雑なオぺレーション(山火事の鎮圧や災害復旧、インフラ設備監視など) で飛行しているオぺレーターに更なる安全性を提供する。DJI AirSenseは、ドローンの空中での安全性を維持するための重要なシステムである。

Mavic 2 Enterprise Dualは、DJIの最新の動画およびデータ伝送システムであるOcuSync 2.0動画伝送システムを搭載し、電磁干渉の多い都市部などの環境下であっても、ドローンと送信機間の接続がさらに安定した。耐干渉性に優れたこのシステムは、2.4GHzおよび5.8GHzの両周波数帯に対応している。自動切替にも対応し、アッフプリンクとダウンリンクのデータストリームに異なる周波数を利用することも可能である。(日本国内は 2.4GHzのみ利用可能)

Mavic 2 Enterprise Dualには、静かで効率的な飛行を実現するプロぺラとあわせて、DJIのFOC正弦波ドライバーが採用され、約31分の最大飛行時間と72km/hの最大速度を実現する。さらに、自己発熱型バッテリーで、マイナス10度の厳しい低温環境であっても、ドローンは確実に性能を発揮する。

価格と販売時期

Mavic 2 Enterprise Dualは、全国のDJI Enterpriseの正規代理店で1月上旬からの販売を予定している。価格についてはDJI Enterprise正規代理店より案内がある。

正規代理店:https://www.dji.com/jp/where-to-buy/enterprise-dealers