2018年10月30日、DJIは、ドローンを産業用途に活用するユーザーや政府、教育機関を対象とした高性能な産業用ドローン「MAVIC 2 ENTERPRISE」を発表した。

 ドローンを活用して業務に革新を求めるビジネスユーザーを対象にしたMavic 2 Enterpriseは、折りたたみ式でコンパクトなデザインに、高度制御技術と専用のアクセサリーを搭載し、消火活動などの緊急事態への対応やインフラ設備の調査などの重要なミッションにおいて、産業利用の可能性を広げるものである。

 DJIのプレジデント Roger Luo氏は「パートナーのニーズに合ったドローンというだけでなく、ドローン技術を取り入れたいと考えている企業のニーズにも応える」と述べた。

光学2倍ズームとデジタル3倍ズームで、パワフルな撮影性能
 同製品は、12MPの高解像度な撮影性能と3軸ジンバルを搭載し、滑らかな映像を撮影できる。直感的に操作できるようデザインされ、光学2倍ズームとデジタル3倍ズームにより、操縦者のビジョンを強力にサポートする。このズーム機能がドローンの性能を飛躍的に向上させ、危険な場所の特定や作業が困難な場所での点検を可能にし、人命や財産を守ることができる。

ドローン技術の潜在能力を拡張するツール
 同製品には、機体に装着するDJIアクセサリーがあり、「DJI PILOT」アプリを介して操作できる。これらのアクセサリーにより、ユーザーは空中からの通信や新しい作業方法が可能となり、ドローンは映像ツールとしての役割を越えて、カスタマイズできるプラットフォームとして、空の生産性が向上する。

DJI - Mavic 2 ENTERPRISE 紹介映像

Mavic 2 Enterpriseのアクセサリー:

M2E スポットライト
  輝度2,400ルーメンのデュアルスポットライトで、暗闇や低照度環境下の作業をサポートする。スポットライトは、人命救助や点検業務において役立つ。
M2E スピーカー
 最大出力音量100デシベル(距離1m)の拡声スピーカーで、ユーザーは最大10種類の録音したカスタム音声を再生できるため、人命救助などの緊急時に周辺付近への重要なコミュニケーション手段になる。
M2E ビーコン
 米国連邦航空局(FAA)の夜間適用免除基準を満たすM2E ビーコン(白色閃光等)は、最大で3マイル先(約5km)からでも目視可能な明るいストロボライトを搭載している。操縦者は、低照度環境下や夜間であっても、より安全に業務を遂行でき、また近くを飛行するドローンや航空機に対しても注意喚起する。

強化したデータセキュリティ機能
 Mavic 2 Enterpriseは、重要な業務における写真や動画、フライトログ、その他のデータを保護する新機能を備えている。産業向けのMavic 2 Enterpriseは、24GBの内蔵データストレージとパスワード保護機能を搭載することで、ドローンの機能性と保存されたデータへのすべてのアクセスへの強化を実現する。パスワード保護を有効にしている場合、ドローンの起動時、送信機とドローンの接続時やドローンの内蔵ストレージにアクセスした際に、パスワードの入力が求められる。これにより、ドローンに物理的な障害があった場合でも、データを保護しながらドローンと内蔵データストレージへの安全なアクセスを提供する。

 新しく搭載したGPSタイムスタンプ機能は、録画映像ごとに時間と位置情報を記録するため、 操縦者の報告義務をサポートするとともに、ドローンで撮影したデータの信頼性を向上させ、重要なインフラ点検業務や合法的な治安維持に活用することができる。

 加えて、データセキュリティにさらなる安全性を求めるユーザーは、ローカルデータモード機能を利用することで、ユーザーが接続しているモバイル端末からのインターネットへのデータ送受信を停止できる。本機能は、重要なインフラ設備や行政機関などのプロジェクト、その他慎重な対応が求められる業務に関連した飛行において、オペレーターにさらなる安全性を提供する。

空域の安全性を高める最新技術
 同製品は、操縦者の状況認識を強化し、空域の安全性を高めるDJIのAirSense技術を搭載している。AirSenseは、機体と一体型のADS-B信号の受信機を使用して、近くにいる航空機やヘリコプターの情報を操縦者に自動で警告し、「DJI PILOT」アプリから位置警告をリアルタイムで表示する。これにより、過密した空域や複雑なオペレーション(山火事の鎮圧や災害復旧、インフラ設備監視など)で飛行しているオペレーターに更なる安全性を提供する。DJI AirSenseは、ドローンの空中での安全性を維持するための重要なシステムである。

飛行性能/信頼性/安全性を兼ね備えた設計
 同製品には、静かで効率的な飛行を実現するプロペラとあわせて、DJIのFOC正弦波ドライバーが採用され、約31分の最大飛行時間と72km/hの最大速度を実現する[注1]。さらに、新しく開発されたMavic 2 Enterprise専用の自己発熱型バッテリーで、-10度の厳しい低温環境であっても、ドローンは確実に性能を発揮する。
 また、DJIの最新の動画およびデータ伝送システムであるOcuSync 2.0動画伝送システムを搭載し、ドローンと送信機間の接続性がさらに安定した。耐干渉性に優れたこのシステムは、2.4GHzおよび5.8GHzの両周波数帯に対応している。自動切替にも対応し、アップリンクとダウンリンクのデータストリームに異なる周波数を利用することも可能である。(日本国内は2.4GHzのみ利用可能) また、最大伝送距離は約8km(日本国内では5km)で、極めて高解像度な動画伝送をパイロットに供給する[2]。(操縦者はドローンを目視可能な位置に維持し、適用される関連法を必ず順守する必要がある。)

 同製品のFlightAutonomyシステムは、8個の高解像度ビジョンセンサーと、2個の赤外線センサーで、より安全な飛行を実現する全方向障害物検知を備えている。進化したAdvanced Pilot Assistance System(APAS:高度操縦支援システム)により、ドローンは自動で前方および後方の障害物を検知、回避し、さらなる安全性を提供する。特に、経験の少ない操縦者や障害物の多い厳しい地形で役に立つ。

DJI - Mavic 2 ENTERPRISE -「Everyday Heroes」
DJI - Mavic 2 ENTERPRISE - 「イギリス警察 - 人命救助」

 メサ市消防局の消防司令官、Dean Morales氏は「ドローンは、人命救助をより効率化し、タスクをより容易にする画期的なツールで、費用対効果が高く、空からの巡視活動に適している。私たちは、地域を守るためのよりよい方法を常に模索しており、これからもドローンの活用により、多くの人命を守りたいと思っている」 と述べた。

 また、焼津市防災部地域防災課の鳥澤 佑介氏は「私たちは、地域社会に貢献するため、全国に先駆けて、消防・防災分野でドローンを活用してきた。Mavic 2 Enterpriseは携帯性に優れ、高い機動力をもって現場の状況を確認することができる。また、光や音声を届ける追加デバイスによる被災者や捜索者への呼びかけや情報伝達といった活動を、より安心、安全に遂行することができると期待している」と述べた。

[注1] スポーツモード使用時には障害物検知機能は無効になる。
[注2] MICに準拠し、機体に障害物、電波干渉がなく、送信機を使用している場合。 飛行時は、常に適用法令や規制に従うこと。

価格と販売時期
 同製品は、全国のDJI Enterpriseの正規代理店で11月上旬からの販売を予定している。価格については正規代理店にて案内。正規代理店は下記リンクより(https://www.dji.com/jp/where-to-buy/enterprise-dealers
Mavic 2 Enterpriseについての詳細情報(http://www.dji.com/mavic-2-enterprise