一般社団法人支部や未来デザインが主催する深圳市南山区の深圳清華大学研究院(RITS)と、その外郭団体でインターナショナルテクノロジー企業への投資を行うLeaguerXによるスタートアップ企業を対象とした国際的なピッチコンテスト「Nanshan "Entrepreneurship Star” Contest」の国内予選「Nanshan "Entrepreneurship Star” Contest 2018 Shibuya」が、渋谷区と中国広東省・深圳市南山区が連携しイノベーションを生み出す取り組みを推進する最初の施策として、8月30日(木)渋谷EDGEofで開催された。

 当日は、オンライン予選を通過した10グループが参加し、国内予選の審査員を努めた夏野剛氏、大櫃直人氏(みずほ銀行)、小田嶋Alex太輔氏(EDGEof)、加藤由将氏(東急アクセラレートプログラム)、深圳市南山区からの主催者代表として参加したAlex Wang氏(LeaguerX CEO)、ゲストの長谷部健渋谷区長、そしてスポンサー企業関係者やメディアの合計約50名の前で、1グループそれぞれ6分間のプレゼンテーションを行った。厳正なる審査の結果、エアロネクストが開発した次世代ドローンに必須となる機体の重心を最適化する技術 『4D Gravity』が日本代表に選出され、9月に南山区で開催される世界大会に招待されることが決定した。

左から審査員代表夏野剛氏、(株)エアロネクスト代表取締役CEO田路圭輔氏、同取締役CFO広瀬純也氏、長谷部健 渋谷区長

 国内予選を勝ち上り世界大会に望むにあたり、エアロネクストの代表取締役CEOの田路圭輔氏は、「深圳はドローンの本場なので、深圳を起点に世界に出ていきたいと考えていました。深圳で私たちの『4D Gravity』を披露して、世界の注目を集めたいと思っていたところ、今回願ってもないチャンスをいただけたので、全力で頑張りたいと思います」と抱負を述べた。
 審査員代表の夏野剛氏は「ドローンの聖地に日本のドローンを送るにあたり、インプルーブメントし、インプロダクションし、社会実装してもらいたいと思っています。おめでとうございます」と激励した。

 また、主催者代表として参加したAlex Wang氏(LeaguerX CEO)は、「オンライン予選を勝ち抜いて本日参加されたみなさんのプレゼンとプロジェクトは、いずれも非常にクオリティが高く、大変感銘を受けました。中国のマーケットは巨大で大きな可能性を秘めており、日本の優れたテクノロジー企業が深圳や中国に興味を持っていただけているということに、とても興奮しています。他の方々もおっしゃっていましたが、優れたプロジェクトが多くありましたので、予選を通過する日本代表を一社に絞るのは非常に困難な作業でした。もし複数の会社を世界大会に招待することができるのなら、というのは、私だけでなく他の審査員も同じ気持ちでした」と総評を述べた。

 ゲストとして参加した長谷部健 渋谷区長は、今回の初の取組を受けて、「渋谷区にはチャレンジ精神を持った人たちにもっと集まっていただきたいと思っています。そして、集まった人たちがアクティブに活動しやすくなるよう行政として応援していくことで、渋谷をスタートアップの街としてもっと発展させたい」と述べた。

 日本代表として選出されたエアロネクストは、9月に南山区で開催される世界大会に招待され、そこで各国の代表と共に再びプレゼンを行う。そこで優秀な事業プランとして審査員に選ばれた場合、中国のシリコンバレーといわれる南山区の起業家支援ネットワークによる資金調達の機会やイノベーションリソースの共有など、事業をスケールアップさせるための手厚いサポートが受けられる。

国内予選参加企業

No. 社名 URL プロジェクト名
概要

1. ㈱Empath  webempath.com Vocal Emotion AI
音声データを独自のアルゴリズムによって解析し、喜怒哀楽や気分の浮き沈みを判定するプログラムを提供。

2. ディライテッド㈱   d-lighted.jp RECEPTIONIST
企業の受付をクラウドによって効率化するサービス『RECEPTIONIST』を開発。

3. キュレーションズ㈱  curations.jp epou
夫婦間のバイタルデータを共有することで、夫婦コミュニケーションを円滑にして健康をサポートするアプリ。

4.㈱Synamon synamon.jp NEUTRANS BIZ
複数人が同時にVR空間に接続し、遠隔会議を行うことのできる次世代のコラボレーションツール。

5.㈱エアロネクスト aeronext.blue The Laboratory of Drone Architecture
次世代ドローンに必須となる、機体の重心を最適化する技術『4D Gravity』を開発。

6.㈱justInCase justincase.jp justInCase
『スマホ保険』や『一日モノ保険』といったテクノロジーにより保険を身近にするサービスを提供。

7.㈱Widsley widsley.com ComDesk
モバイルと連動するセールス&CSのコミュニケーションプラットフォーム『ComDesk』を開発。

8.リアルワールドゲームス㈱ realworldgames.co.jp Bit Hunters
現実世界と連動する『リアルワールドゲーム』によって健康や地方創生などの社会課題解決を提案。

9.㈱クラウドリアリティ   crowd-realty.com Crowd Realty
不動産に特化した投資型クラウドファンディング・マーケットプレイス『Crowd Realty』を開発。日本だけでなく世界を舞台に投資活動を展開。

10.WAmazing Inc. WAmazing
『WAmazing』は訪日外国人の様々な不満解消とオンラインによる情報提供をワンストップで実現するサービス。

<実施概要>
名称 Nanshan "Entrepreneurship Star” Contest 2018 Shibuya
日時 8月30日(木) 13:00~16:00
会場 渋谷EDGEof 2階(東京都渋谷区神南1-11-3)
内容 オンライン予選通過10グループによるプレゼン、日本代表1グループを選考
審査員 夏野 剛 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特別招聘教授 他
大櫃 直人  みずほ銀行 執行役員 イノベーション企業支援部長
小田嶋Alex太輔 エッジオブ 共同創業者 代表取締役 Co-CEO
加藤 由将  東京急行電鉄 事業開発室 プロジェクト推進部
Alex Wang  LeaguerX CEO
主催 一般社団法人渋谷未来デザイン

〈プロジェクト概要〉
1. 大会について
南山区国際大会「Nanshan “Entrepreneurship Star” Contest」
主催:深圳清華大学研究院(RITS)、LeaguerX Entrepreneurial Investment Co.(LeaguerX)
後援:深圳市南山区人民政府、深圳市科学技術イノベーション委員会
時期:9月予定(中旬以降)、中国深圳市南山区にて

2. 参加要件
成長企業グループとスタートアップグループの2つのカテゴリーにて募集。
(1)成長企業グループ参加条件
①高い成長性及び強いイノベーション能力のあるテクノロジー系の中小企業であること。
②会社設立10年以内(2008年1月1日以降の登記)、かつ2017年の売上が1.5億元(約25億円)を超えていないこと。
③過去に法令違反等がないこと。
④過去にこの大会での受賞記録がないこと。
(2)スタートアップグループの参加条件
①会社設立後1年以内(2017年1月1日以降の登記)もしくは、本大会申込締切までに、深圳に登記をしておらず、テクノロジーイノベーションの成果を有する会社を設立予定であること。
②コアメンバーが3名以上で、大会後6ヶ月以内に会社を設立予定であること。
③大会にて発表する製品、技術、関連特許が大会参加者に属しており、他者との特許問題を抱えていないこと。
④過去にこの大会での受賞記録がないこと。

3. 賞金総額(南山区国際大会)
330万元(約5,600万円)
-賞金内訳-
・成長企業グループ 1位50万元、2位30万元、3位20万元、4位10万元
・スタートアップグループ 1位30万元、2位20万元、3位10万元、4位5万元
・特別賞 20万元を超えない範囲で設定、その他の賞も想定有。

4. 南山区決勝大会(Nanshan "Entrepreneurship Star” Contest)に関して
南山決勝大会に参加したスタートアップ企業は、南山大会主催者より下記の対応が得られる予定である。(但し、下記のサポートは南山区大会主催者側との合意によるものとする)
(1)南山区の区幹部がサポートする重点企業バンクに登録される。
(2)政策サポート:
・ ” Entrepreneurship Star”の条件に当てはまるチームは法人設立に際して、一度きりの10万元の創業資金サポートが受けることが可能。
・ 南山区の産業政策及び成長需要に合致する受賞企業及びチームは、南山区の自主創新産業発展専門資金を優先的に受けることが可能。
(3)資本マッチング:
・ 優秀なプロジェクトは優先的に南山区政府ファンド、Nanshan "Entrepreneurship Star” Contest投資連盟等から出資を受けることが可能。
(4)銀行融資:
・ 受賞企業は優先的に南山区科学技術金融計画に選出され、銀行融資を受けた及び投資機関からの出資を受けたプロジェクトは政府が提供する手形によるサポートを受けることが可能。
(5)創業スペース:
・ 南山区に登記した受賞企業及び創業チームは優先的に南山区のインキュベーター入居及びマンションあるいは補助金サポートの申請ができる。
(6)創業サポート:
・ 受賞企業及びチームは区の関連職業部門が提供する創業トレーニング、管理コンサルティング、メンターサポート、特許申請、イノベーションリソース利用、専門展示会、国際交流や人材招聘が受けられ、さらに区の科学技術創業媒体での宣伝や報道などのサポートを利用できる。