2018年3月12日、エアロセンス株式会社は、株式会社NTTドコモと、長距離・高速飛行が可能な垂直離着陸機(以下、VTOL※)と LTE通信が可能なドローン用LTE通信デバイスを用いた広域リアルタイム映像伝送に成功した。国家戦略特区である福岡市の協力のもと、災害発生時の被災状況把握を映像で広域に、かつ、迅速に行うことを目的とした新たな防災インフラの構築に向けた飛行実験を行った。

実験に使用したVTOL
実証実験イメージ

 2005年に発生した福岡県西方沖地震以降、福岡市では災害発生時に遠方にある離島の被災状況を迅速に把握することが課題となっている。そこでドコモは、ドローンに積載可能な小型・軽量の LTE 通信デバイスと、機体の位置や飛行速度の遠隔監視および機体に搭載したカメラ映像のリアルタイム伝送を可能にするシステムを開発した。本実験においてはLTE 通信デバイスをエアロセンスの開発したVTOLに搭載して、福岡市の九州本島と玄界島との間の海上飛行航路を想定した飛行を平均速度約90km/hで行い、VTOLの飛行状況と玄界島の映像を LTE ネットワーク経由でリアルタイムに専用サーバへ伝送する技術を実証した。

ドローン用LTE通信デバイス

 VTOL は長距離・高速飛行が可能なため、現在広く利用されているマルチコプター機では到達困難な 10km 以上遠方へ飛行できるとともに、約3倍早く目的地へ到達できる。さらに、ドローン用 LTE 通信デバイスを搭載することで、LTE サービスエリア内であればドローンの場所によらずリアルタイム映像伝送が可能である。この防災インフラを提供することで、災害発生時の人命救助をより広域、かつ、迅速に行うこと目指すという。

※ VTOL(ブイトール)は、Vertical Take-Off and Landing の略称。